アソビゴコロ 〜Wedding？〜２【川村壱馬】

冷静な声 ページ33

壱馬side.




健｢やぁ〜、まさかあの子が噂の彼女ちゃんだったとはなぁ〜｣


壱｢…もうその話いいですって｣


健｢もう伝説だよ。壱馬のちゅー事件｣


壱｢事件てなんすか｣


健｢あれは事件だよ。見ちゃいけないものを見ちゃった感じ｣






月曜の今日のバイト
健太さんとシフトが被ってたから嫌な予感がしてたけど
案の定Aの話ばかり

かわいかったね〜、とか
いい子だったな〜、とか
そんなん俺がいちばんよくわかってるっつの






健｢きゅまちゃん？はさ、俺らの大学に来んの？｣


壱｢来たいらしいです。バカなんで来れるか分かんないすけど｣


健｢経営学部かね｣


壱｢いや…あいつ別に経営とかそういうのに興味ないから…｣






そういえば俺と同じ大学に行きたい行きたい言ってるけど
あいつの夢ってなんだろう

バイトの時間まであと10分ある
暇だろうから電話でもしてやろうかな






壱｢健さん、Aと話します？｣


健｢え、まじ？けんた喋っちゃうよ｣


壱｢たぶん喜ぶと思います。A、健さんのこと素敵な人だって言ってましたし｣


健｢なにちょっと、けんたの株あがりすぎじゃん｣






スピーカーにして、Aが電話に出るのを待つ
呼び出し音が消えて、名前を呼ぼうとした瞬間

Aじゃない冷静な声が休憩所に響いた

そいつはここら辺じゃいちばんでかい病院の看護師だと名乗り
Aが倒れたから来て欲しい、と言った

…意味、分かんねぇんだけど






看｢母親とは連絡がつかなかったもので…。学校の方には連絡させて頂いたんですけども、できれば身内の方に来て頂きたくて｣


壱｢俺…身内じゃないんすけど、｣


看｢失礼ですが、熊城さんとのご関係は？｣


壱｢…彼氏です｣


看｢ありがとうございます。お時間ありましたら来て頂いてもよろしいでしょうか？｣






状況が理解できないのに病院に来い？
ほんとにAなのか？

ふざけてるとかじゃなくて？
Aが…倒れた？






健｢…壱馬、行ってこいよ｣


壱｢健、さん｣


健｢言っとくから。今日はそこまで混まないだろうし。もし、怒られたら俺も一緒に怒られる｣


壱｢ありがとう、ございます…！｣






すぐに着替えて、病院に向かった
Aの無事をただ祈りながら

あいつは…俺の命よりも大切だから
あいつがいないと…ダメだから

ざわめく胸を落ち着かせながらバイクを走らせた




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