香り ページ7
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…寒い
大雨だけど、ずぶ濡れになった体を今更雨宿りさせる気力なんてなくて
前に陸くんに教えたお気に入りの場所に足を運んでた
…大人気ないな
大学生にもなって
みんなに迷惑かけて
わたし、疫病神みたいじゃん
『…謝って、帰る準備…しよ』
思うだけじゃ自分に負けそうで
小さな声を絞り出した
１歩後ろに下がって
何となく今までのことを思い出してみる
…まだ、思い出は数える程しかない
壱馬くんが言ってた １回離れれば って案外ほんとかもね
人は、臨機応変だから
『…よし、帰ろ！』
自分の頬を ぱしっ て叩いてから後ろを向いたら
いきなり雨が止んだ
同時に黒い影がわたしを包んで
優しい香りが鼻をかすめる
『陸…くん？』
陸｢…どこに帰るの？｣
このお花みたいな、柔らかな香りは陸くんしかいない
優しげな声が上から降ってきて
泣きそうになる
『家に…です』
陸｢俺らの…だよね？｣
『あ…えっと、』
珍しく、有無を言わせないような雰囲気に息を呑む
陸｢絶対、ここにいると思ったんだ｣
『…ごめんなさい、』
陸｢なんで謝るの笑 僕とAの特別な場所でしょ？｣
特別
その言葉に胸が熱くなるのを感じた
陸｢ほくちゃんも、壱馬も、今探し回ってるよ｣
『うそ…』
陸｢…Aのことだいすきなんだよ｣
少なくとも、僕はね
と、少しおどけて見せた
その時、陸くんの背中が濡れてることに気づいて
傘を出ようとしたら
力強く腕を引かれて、陸くんとの距離が縮まった
陸｢…行かないで｣
『り、く…く、』
陸｢…もう、離さないから｣
ぐ…、と握る手に力を込めて
なんだか泣きそうな声で言った
陸くんでいっぱいだった日々を思い出して
きゅう…と胸が苦しくなる
陸｢風邪、引いちゃうから。帰ろう？｣
相変わらずのひまわりみたいな笑顔が
わたしの沈んだ心を照らした
無意識に縦に頷いてたのに気づいた時には
手を引かれ歩き出していた
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こっとん(プロフ) - キュンキュンしました(T-T) (2017年11月15日 2時) (
レス) id: 9ec2d8728c (このIDを非表示/違反報告)
玲於 壱馬 - 私は壱馬君が好きなので続きが楽しみです。これからも応援しています。更新頑張って下さい♪ (2017年11月14日 17時) (レス) id: 842afb46b2 (このIDを非表示/違反報告)
1980no(プロフ) - 北人君可愛いですね☆これからも､れもんさんのペースで更新頑張って下さいね(*>∀<*)楽しみにしています！ (2017年11月11日 0時) (レス) id: fb6f76b200 (このIDを非表示/違反報告)
ひなの(プロフ) - 続きがきになります！私は陸推しなので陸とくっついて欲しいって最初思ってたんですけど今読んでると早く壱馬とくっついてほしいなって思いながら読んでます！ニヤニヤ止まりませんw (2017年11月8日 16時) (レス) id: e65c5b148a (このIDを非表示/違反報告)
こっとん(プロフ) - いまいちばん大好きな作品です！ 更新楽しみにしてます（＾_＾） (2017年11月6日 18時) (レス) id: 9ec2d8728c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れもん
| 作成日時：2017年10月21日 11時
