星屑ハートブレイカー 【佐野玲於】

Heart 43. ページ43

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壱｢いわしょー長かったやん。何話してたん｣


『…髪伸びたねーって』


壱｢それほんま？笑｣






なんか、気恥ずかしい。


わたしの知らないところでも

わたしを助けてくれてた壱馬くん。



ほんとに優しくて

素敵な人だなぁって思う。






『今日…わたしの好きなセットにしていい？』


壱｢そんなのあるん？｣


『練習してて、壱馬くんに合うなぁって思ったのがあって…。あ、写真撮ったんだけど、見て』


壱｢…うん｣






スマホ取り出して

壱馬くんの髪型フォルダを開いて

いちばんのお気に入りを見せる。


壱馬くんも いいじゃん って言ってくれて

嬉しくてスマホから顔上げたら

すぐ近くに壱馬くんの顔があって

綺麗な漆黒の瞳に どくん… と胸が締めつけられるようだった。






壱｢…なぁ、ずるない？｣


『…なに、が？』


壱｢そんな反応されたら、嬉しくて、また好きになるやん…｣






…ことごとく、わたしって恋愛に向いてない。



玲於くんからは逃げちゃって

まともに恋人らしいことできてないし


壱馬くんとはお友だちって思ってるのに

好きって思われてるってわかると

意識しちゃうし…




ほんと、だめだめ。


仕事人間にでもなるべきなのかな…。






『は、始めます…』


壱｢…わかりました笑｣






壱馬くんの目って

強くて凛としてるから

ちょっと前髪から覗く感じがかっこいいと思うんだよね。


前髪の間から見えた瞬間に

惹き込まれるような

そんな瞳。






壱｢…すげぇな｣


『ん？』


壱｢いつも想像超えていい感じになる｣






セットし終わった髪の毛を鏡でいろんな角度から見てる。






『わたしがすごいんじゃなくて、壱馬くんの元々の魅力のおかげでよくなるんだよ』


壱｢…でも、自分じゃできへんし｣


『壱馬くんも知らない壱馬くんのいい所を引き出すのが、わたしのお仕事』






そう言ったら

壱馬くんはほんとに嬉しそうな顔をして笑って


ありがとう


ってわたしの顔を見上げた。






『わたしこそ、ありがとう…』






どうしたってわたしは玲於くんが好きだから

壱馬くんの想いに応えることはできないけど

その分、全力で壱馬くんを輝かせてみせるから。



だから、これからもよろしくね。




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