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タクシーで暫く走って深海家の方から最初に乗った場所まで戻る。そこからは歩きだ。
2人の介助を受けながら家に着き、Aは自室へ戻った。千秋と奏汰もついでとばかりについてくる。
奏汰が3人分のコップを持ってきたので、Aはピッチャーから極薄い紅茶を注いだ。
「俺たちは今年卒業だから、次怪我した時とか、倒れた時とか、そういう時に俺たちが居合わせるとは限らない訳だ。あれなら、俺たちから子供たちには話しておこうか」
「わるくないとおもいますけど……どうします?こんご、『こどもたち』とかかわる『きかい』はそれなりにあるはずですけど、ぼくたちからはなしますか?じぶんではなしますか?」
「……」
二人の申し出に、Aは少し考えた。
子供たちというのは、『流星隊』の1年生、Aにとってはひとつ上の先輩にあたる3人のことだろう。Aはプロデュース科へ入学するので、アイドル科である3人には、仕事以外で顔を合わせる機会はない。しかし逆に言えば、仕事をすれば良い訳だ。幸い、あんずという名前のプロデューサーは、二つ上だが同じプロデュース科である。彼女を介して会う機会はあるだろう。なければそれはAの力不足である。
「自分で話してみます」
「会っても、おそらく仕事優先だぞ。お前の都合を話せるとは限らない」
千秋が言う。
「それでも……自分がひとりでどこまで出来るか、知りたいから」
「あなたがそういうのであれば、ぼくは『てだし』しないでおきます」
「うん、俺もやめておこう。しかしこれだけは忘れてはいけないぞ。お前は一人じゃない。お前が倒れれば心配する人がいる。限界を超えてまで動くなよ。一番大切なのは、それぞれの命なんだからな」
「ちあき、それは『とくだいぶぅめらん』……。でもそうですね、とくにあなたは『からだ』をこわしたらすぐ『いのちとり』なんですから……。ちあきもですけど、ふたりとも『ながいき』してくださいね、ほんとうに」
奏汰が目を細め、Aの頭を撫でた。
「で、そろそろ本題に戻らないとだな。とりあえず奏汰のおうちから学校まで歩いてみた訳だが。一人で通えそうか?」
「たぶん……?」
ゆっくり歩いていけば、特に息切れもしない。ただ懸念すべきは、あの場所は学校であるということだ。即ち、全学生の敵――参考書と教科書を持ち歩く必要があるということである。
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Chris(プロフ) - 冬枯さん» 元々あんスタ知ったこと自体ツキウタ。がきっかけで、あんスタ→ツキウタ。→あんスタ(今)みたいな感じなんです。製本も、とりあえず自分用に作ってみて、満足行く出来なら頒布に出そうかな、くらいなので本当におかまいなく……>< Musicの星5千秋は大変でした^^; (2021年1月10日 11時) (レス) id: 313ba381d4 (このIDを非表示/違反報告)
冬枯(プロフ) - 本欲しい…でも無理そう…面目ない… 主さんツキウタ。ご存知だったんですね!まだツキアニ。2を見た程度で何も知りませんが少しずつ知る予定です。☆5千秋おめでとうございます!更新しつつはヤバいっすね…!これからも応援してます! (2021年1月9日 14時) (レス) id: ec10afebdf (このIDを非表示/違反報告)
Chris(プロフ) - 冬枯さん» いつもコメントありがとうございます!そうなんです、プロ科の1年生です。本編ではつぼみまでの成長で、開花まではしませんが、いろんなアイドルたちと関わる中で成長していく主人公を描き出せればと思います。 (2020年12月31日 17時) (レス) id: 313ba381d4 (このIDを非表示/違反報告)
冬枯(プロフ) - 続編ありがとうございます!!主人公ちゃんは正式に作られるプロ科の1年生か!!あんずちゃんなどの力を借りて成長していくんですかね…?その前に何かありそうな気もします…読めば読むほどお話に引き込まれる感じがします!これからも更新楽しみにしてます! (2020年12月31日 15時) (レス) id: ec10afebdf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Chris | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/chrisinfo/
作成日時:2020年12月17日 23時