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Case.130 ページ12

「ははっ、大人気だな、A」
「…楽しんでるでしょ、透」

じろりと隣を睨めば、零がトレンチ片手に笑っていた。

「悪かったよ。ほら、アイスコーヒーとフルーツタルト」

目の前に置かれたそれらに、ムッとしながら手を伸ばす。

「お味は?」
「…おいしい」

くそう、抗えない。

「それはよかった」

零がにこりと笑う。
悔しい。

「はいはい質問!」
「どうぞ、園子ちゃん」

元気よく手を上げた彼女を名指しすると、園子ちゃんはにんまりと含みのある笑顔をこちらに向ける。

「2人の馴れ初めは!?」
「知人の紹介ね」

スパッと答えると、へ?と勢いをそがれた声が漏れた。

「も、もう少し詳しく…」
「秘密」
「えと…じゃあ、いつ出会ったんですか!?」
「んー…4年半くらい前かな」

あんまりはっきり覚えてないけど。

次は梓さんが参戦してきた。

「どこで会ったんですか?」
「秘密」
「うっ…知人の方とはどういう繋がりですか!?」
「仕事よ」
「端的…っ」

梓さんも悔しそうに引き下がる。

「わ、私もいいですか!」
「どうぞ、蘭ちゃん」

正直蘭ちゃんまで乗ってくるとは思わなかったけど、やっぱり女子高生ってことか。

「あ、安室さんを好きになったきっかけはなんですか!」
「…直球ね」

純粋だわ。
赤い顔してわくわくと答えを待ってる様子が可愛い。

けれど。

「秘密」

『えーっ!』

女性陣が揃って残念そうな声を上げた。

「もう、Aさん秘密ばっかり…」
「そうですよ!少しくらい教えてくれたっていいじゃないですか!」
「このままじゃ、いつまでたっても“謎の美女”のまんまよ!」

どうやら全員、大いに不満らしい。なんでどうしてと責められる。気持ちは分からなくもないけど、こちらにも事情というものがあるから許してほしい。
それに。

「あら…知らないの?良い女には、秘密がつきものなのよ。――だって」

口の端を吊り上げ、唇に人差し指を立てる。妖しげな笑みを作って、集まる視線を流し見た。


「A secret makes a woman woman…」


そう言って、私はひとつウインクをつける。
対する面々は、赤い顔でぽかんと私を見つめていた。

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胡蝶(プロフ) - 藍色さん» コメントありがとうございます!もったいないお言葉です…が、とてもとても嬉しいです!語彙力捻り出しながら書いた甲斐がありました…。書くのが遅い上に煮詰まっていて遅筆に拍車がかかっておりますが、どうかお付き合いくださいませ。 (2022年8月17日 13時) (レス) @page14 id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
藍色(プロフ) - 作者様のキャラの感情表現、文才能力が凄すぎます…!度々一人で悶えながら読んでます!面白い作品に出会えて私は幸せです(´;ω;`)更新楽しみに待ってます! (2022年8月16日 3時) (レス) id: 82bbddf0f3 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - ねるさん» コメントありがとうございます!一気読み嬉しいです!書くのが遅くてお待たせしておりますが、頑張って更新いたします…! (2022年8月9日 15時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
ねる - 一気読みしてしまいました!続き待ってます!更新頑張ってください(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎) (2022年8月8日 9時) (レス) @page27 id: a5b6221b88 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - かるぴんさん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けて嬉しいです!特に二幕はデレ期のつもりなので…距離感を詰めていく様子にお付き合い下さいませ! (2022年7月14日 20時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:胡蝶 | 作成日時:2022年6月25日 12時

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