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Case.60 ページ22

ぞろぞろと会場を出る人波の中で、目的の金髪を見つけて隣に並ぶ。

「助かった」
「ちゃんと埋め合わせしてよね」
「もちろんさ」

ちなみに、犯人は私が爆弾を解体し終わる少し前に確保したらしい。
騒ぎもないし、さすがは公安。

「あれ、Aさんいつの間に?」

零の足元から、ボウヤがひょっこりと顔を出した。

「たった今よ」
「そっか。お疲れ様」
「……相変わらず察しが良いわね」

十中八九、私と零の電話を聞いていたに違いない。まったく、こんなに小さいうちから事件に首を突っ込んでどうするんだか。
とはいえ、それに助けられた仲間がいるんだからなんとも言えない。

「それより、保護者の体調は良くなったの?」
「うん。さっき連絡が来て、車を運転できるくらいには回復したって」
「そう。お大事にね」

大方、彼女(・・)の薬が効いたのね。相変わらずの手腕で安心したわ。
その後、ボウヤ達を駐車場近くまで送り届けたら、律儀にお邪魔しましたと言って去っていった。
いらないんだけどその気遣い。

「今度、蘭ちゃんと一緒に居る時に煽ってやろうかな」
「…大人気ないぞ?」
「ジョークよ」

蘭ちゃんを困らせてまでやるつもりないし。
そんなことより、大切なのはこっち。

「そろそろ埋め合わせしてほしいんだけど?」
「分かってる。クッション両方だな」
「合格」

踵を返して例の店舗へ歩き出すと、零がバッグを寄越せと手を差し出してくる。

「ありがと」
「これくらいはな」

そう言って、またさりげなく右腕を開いた。
手を回せってことだろうけど…。

「…近いのよね」

ぼそっと呟くと、零はほんの少し目を瞠って、何故か心配そうに私の顔を覗いてくる。

「今日は混んでいるから、出来れば掴まっていてほしいんだが…嫌なら袖にするか?」

なんでそんな顔するのよ。
確かにデートらしくしたい下心はあったかもしれないけど、混雑してる中を歩きやすいよう、零がエスコートしてくれていたのは私も分かってる。
ただ、ポアロで会うより物理的に距離が近いから気になっただけで。

「別に嫌とは言ってないでしょ」

開いた右腕に手を回すと、零はほっとしたように表情を緩めた。

「そうか、それならいいんだ」
「……?」

何を気にしてたのか分からないけど、どうやら調子は元通りになったらしい。
じゃあ遠慮なく。

「クッション買ってくれるんでしょ。早く行くわよ」
「ははっ、分かったよ」


ぐいぐいと零を引っ張りながら、私は店へと急いだ。

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胡蝶(プロフ) - 明里香さん» ご報告ありがとうございます。修正いたしました! (2022年8月2日 2時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 82話、名前変換出来ていない箇所があります。 (2022年8月1日 7時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - 明里香さん» ご報告ありがとうございます!修正いたしました。ご不便をおかけいたしました…! (2022年7月31日 17時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 66話、名前変換出来ていない箇所があります。 (2022年7月31日 11時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - cherry*さん» こちらこそです!更新本当に遅いのですが、どうか最後までお付き合いください! (2022年5月27日 12時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:胡蝶 | 作成日時:2022年5月19日 5時

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