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Case.37 ページ45

今日も朝からポアロへ向かう。
ここ数日で、梓さんとはとても仲良くなれた。初めは実年齢より若く見られて驚かれたけど、それはもう慣れた話だ。初めて会った人は皆そう言う。
梓さんはくるくる表情が変わって面白かったなぁ。
28歳だと教えたら、ぽかんと口を開けて青くなったり、気まずそうに目を泳がせたりしたものの、最終的には開き直ってた。いっそ清々しい。

「ふぁ…ねむ…」

あくびを小さく噛み殺し、眠い目をパチパチと瞬かせる。昨日は本国から要請された任務をこなしてたから、全然寝てないのよね。
もう一度、今度は大きなあくびが出てきた。
ポアロのドアを押し開けながら、食べたら少し寝かせてもらおうと、ぼんやりした頭の隅で考える。

「おっと」
「――え、っ!」

目の前に人がいた。踏みとどまろうにもすでに遅くて、結局正面からぶつかってしまう。

「す、すみませ…」
「おや、嬉しいですね。貴方の方から僕の胸に飛び込んできてくれるなんて」
「………へ、」

聞き覚えのある声が降ってきた。

「そんなに僕に会いたかったですか?」
「………」

この野郎。
輝かんばかりの笑顔でからかってきやがるなんて、本当にいい性格してるわ。

「…そういうとこ嫌い」
「残念、振られてしまいました」

零は肩を竦めると、カウンターではなく何故か隅のテーブル席に誘導する。

「ねぇ、私カウンターがいいんだけど…」
「僕も本当はそちらに案内したいんですけどね」
「じゃあなんで…ちょっと!」

問答無用とばかりに連れて行かれる。梓さんに助けを求めてアイコンタクトしたら、グッと親指を立てたハンドサインが送られてきた。
いや、Good luckじゃないのよ。
なんで梓さんまで秀一と同じ事を。私の味方はいないのか。

「…何を企んでるの」

開店して間もないから、お客さんも少ない。そのうえ人目につきにくい端席だなんて、妙に身構えてしまう。

「企んでなんか。僕なりに気を使ってるんですよ」
「は?」

意味分かんない。
零は私をシート席に座らせると、勝手にモーニング1つとオーダーを通してカウンターに戻っていってしまった。
なんなの…?
入店早々、どうしてこんなにも振り回されないといけないのよ。しかも、肝心のIDカードについては聞けてもいない。

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胡蝶(プロフ) - カイさん» コメントありがとうございます!キャラクターの“らしさ”の部分は結構気にして書いているので、気づいて頂いてとても嬉しいです!更新頑張ります! (2022年5月19日 23時) (レス) id: 1da46a4e4a (このIDを非表示/違反報告)
カイ - えええ…素敵すぎて今日初めて拝見したんですけど、全て見終わっちゃいました…。キャラクターの性格をよく噛み砕いて書いてる印象を受けました。コナンファンには絶対読んでもらいたいー! (2022年5月19日 0時) (レス) @page35 id: 6aad3c552e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:胡蝶 | 作成日時:2022年5月18日 2時

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