Case.Gimlet ページ30
バーボンというコードネームを得て、そろそろ2週間が経つ。
「ここがあの子のセーフハウスよ」
昼下がりにベルモットに連れられてきたのは、立派な洋館だった。
「おお…すごいな」
感嘆の声を漏らしたのは、一緒に連れてこられたスコッチだ。僕もそれには完全に同意だが、これから会う人物のことを考えると、そう暢気に構えてもいられない。
事前の下調べで女性だという事は分かっているが、その人物像を知る者はほとんどいなかった。
それもそのはず。
なにせ相手は、あのジンが囲う“お気に入り”だ。
コードネームを得て早々、こんな大物との任務を命じられるとは、気負わないわけにもいかない。
しかも、これからしばらく同居することになるとはな…。
色々な意味で緊張感のある生活になりそうだが、良い機会であることにかわりはない。彼女に気に入られれば、幹部の中枢へ入り込む足がかりにもなる。
その為にも、可能な限り情報を集めなければ。
そうやって神経を尖らせている僕とは対照的に、スコッチは自然体でアンティーク調の内装をキョロキョロと見回していた。
「細かい所まで凝ってるよなぁ。この家、維持費どれくらいかかるんだろう？」
「…どうでしょうね」
…すごいなこいつ。
「ここよ」
「……！」
スコッチのおかげで緩みかけた気を引き締め直して、部屋へ入っていくベルモットの後に続く。隣のスコッチもさすがにここは緊張しているのか、少し顔が強張っていた。
それもそうだろう。これから会うのは、ハッキングや諜報に長け、その正確な情報で必ず任務を成功へと導く組織の懐刀。
組織の幹部であるジンの、有能な部下。
―――コードネーム・ギムレット
「……ん？」
入った先のリビングルームは、人気がなく、がらんとしていた。
「…あれ？もしかして…いない？」
スコッチが拍子抜けしたように呟く。すると、ベルモットが珍しく深いため息をついた。
「……まったくあの子は」
大きなソファに近づくと、端の方にあったブランケットの塊を引っ張る。
「…えっ」
その下には、くるりと丸まった背中があった。
寝ている…のか？
「起きなさい、ギムレット」
「ゔー……」
ベルモットが声をかけると、唸りながらもぞもぞと動いている。そこから垣間見えた相貌が、想像より若いことに驚いた。
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胡蝶(プロフ) - カイさん» コメントありがとうございます！キャラクターの“らしさ”の部分は結構気にして書いているので、気づいて頂いてとても嬉しいです！更新頑張ります！ (2022年5月19日 23時) (
レス) id: 1da46a4e4a (このIDを非表示/違反報告)
カイ - えええ…素敵すぎて今日初めて拝見したんですけど、全て見終わっちゃいました…。キャラクターの性格をよく噛み砕いて書いてる印象を受けました。コナンファンには絶対読んでもらいたいー！ (2022年5月19日 0時) (レス) @page35 id: 6aad3c552e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：胡蝶 | 作成日時：2022年5月18日 2時
