Case.9 ページ11
「――で、どうするの？」
蘭の怒りのまま突き進んできたのは、昨日ひったくりに遭ったという大通りだった。
「どうしよ…」
園子がえへへと頼りなく笑う。
どうしよじゃねぇよ。
付き合わされるこっちの身にもなってほしい。
ったく、しゃあねぇな。
「ねぇ、園子姉ちゃん。その人と何か話したりした？」
「ええ？えーっと…確か人と会う約束があるから、自分で警察呼べるかって聞かれたのよね」
「うん。ひったくり犯は気絶してるから、多分起きないだろうって」
「えっ？」
ひったくり犯を気絶させたのって、蘭じゃなかったのかよ？
てっきり犯人は蘭が空手で叩きのめして、転んだ園子を介抱してくれたのがその人なんだと思ってたけど、どうやら違ったらしい。
「そうそう！走りながらでよく見えなかったけど、ショルダーバッグを振り抜いて、一撃で仕留めてたわ。警察の人が駆けつけた時言われたんだけど、あの男、軽い脳震盪起こしてたらしいわよ」
「それにあの女の人、かなり高いヒールを履いてたのに、身のこなしに無駄がなくて。多分すごく体幹がいいんじゃないかな？」
美人な上に強いなんて憧れる、なんて、園子と蘭はうっとりとトリップを始める。
おいおい、冗談じゃねぇぞ…？
バッグ1つで脳震盪なんて、狙ってやったとしか思えない。
「そういえば、片手にフラッペ持ってたよね」
「ああ、あの新発売のヤツね！」
「…何それ？」
新しい情報だ。聞くと、すぐそこのコーヒーチェーンが販売している、季節限定商品らしい。
「じゃあ、お店の店員さんに話を聞いてみようよ。何か手がかりになるかもしれないしさ！」
そうして店に行ったところ、彼女が電話をしているのを聞いたという店員がいた。
「その人、どんな話してたの？」
子供の特権を利用して、単刀直入に聞いてみる。店員は少し周りを窺うと、声を潜めて教えてくれた。
「お客様ですし、聞こえたのは一言だけですけど…確か、」
――ライのこと、詳しく教えてくれるのよね？
「――っ！？」
一瞬にして、全身から血の気が引いた。
は……？
喧騒が耳から遠ざかる。
“ライ”
それはウイスキーの――酒の名だ。そして、偽装死を図った赤井さんのコードネームでもある。
文脈だけ見れば、それが人物名だとは断定できない。だが、一撃で脳震盪を起こさせたり、蘭の言う体幹の良さを考えると。
安室さんの他に、赤井さんの死を調べている組織の人物がいる…！？
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胡蝶(プロフ) - カイさん» コメントありがとうございます！キャラクターの“らしさ”の部分は結構気にして書いているので、気づいて頂いてとても嬉しいです！更新頑張ります！ (2022年5月19日 23時) (
レス) id: 1da46a4e4a (このIDを非表示/違反報告)
カイ - えええ…素敵すぎて今日初めて拝見したんですけど、全て見終わっちゃいました…。キャラクターの性格をよく噛み砕いて書いてる印象を受けました。コナンファンには絶対読んでもらいたいー！ (2022年5月19日 0時) (レス) @page35 id: 6aad3c552e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：胡蝶 | 作成日時：2022年5月18日 2時
