1.あかんすっきやねん【ＪＷ】 (ページ18)

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02. ページ18

オフの日、俺たちは釣り堀に行った。

『わー！めっちゃおるやん！！』

キラキラした目で魚を見つめる横顔に、

「やっぱ初めは釣り堀からやろ！！！」

と言って釣竿を渡す。

『ありがとー！！私な濱ちゃんと釣りするのめっちゃ楽しみやってん！！！』と嬉しそうに笑うA。

「そんなん言うてくれたらもっと早くに誘っとったのに！！」

『んー、楽屋やとみんなおるし！せっかくやから二人で釣りしたかったんよー！』

...ズッキュンと俺の心にハートの矢が刺さった。

「おー、そーか。」
...とそっけなく返事をする俺の鼻の下は伸びきっていることだろう。

『あんまり最近、濱ちゃんとのんびり話せんかったからなーと思って！』

「おぅおぅ、話すか！！！！何でも聞いたんでー！！！！！」

2人で釣り糸を垂らしながらたわいもない会話をした。

釣り堀の魚たちは俺たちの釣竿を避けながらスイスイ泳いでいた。

『～ってことがあって、さすがに怒って無視したわー！！！』

「そんなん無視や無視！！怒って当然や！」

『やろー？？あ！ごめん濱ちゃん！！私ばっかり話してるわ！』

「ええよー！Aが愚痴ってくれるだけで俺はうれしいねん。」

普段は聞けない本音を、Aは俺と居るときだけしゃべってくれるのが嬉しいのだ。

『濱ちゃんは何かないのー？』色素の薄いきれいな瞳が俺を見つめた。

...どきっとした。

「んーせやなぁ...。
じゃあ一個聞いてええかー？Aは、なんでそんなに周りに優しくできるん？」

『ふふ。濱ちゃんのほうが優しいやん。』

そう言ってふにゃっと笑う目元。

「いや、スタッフさんとかはともかく！ジュニアにも優しいやん！」

俺たちが、名前も知らないようなジュニアにもAはよく話しかけている。

『あーなんかな？ジュニアの子たち見てると、昔のみんなのこと思い出すんよ！

頑張ってる姿がきっと重なんねんな！きっとデビューできるで、がんばれー！って。』

『母親目線やねん。』と嬉しそうに笑うAに俺は胸が締め付けられた..。