#09 ページ9
spring moon #09
「隣、座ってもいいですか？」
窓際のカウンター席を好んでいる私の隣に注文
したメニューを持ってやって来た彼はちょっぴ
り恥ずかしそうにそう言った。
「いいけど...お店はいいんですか？」
なんて聞きながら辺りを見渡してみれば、私が
外に目を向けているうちにどうやら幾分帰って
しまったらしい。
「今日最後のお客さんは、Aさんだから」
「もう少し早くに来れたら良かったんですが...」
「いいんです、俺特製のラテ冷めないうちに飲
んでください」
テーブルの上を滑り、私の前へ置かれたマグカ
ップには相変わらず甘い香りを漂わせる美味し
そうなラテが並々と注がれている。
ラテの香りを存分に吸い込んでから、マグカッ
プへと口を付ける。
特製の、と言っているという事はあの日始めて
ご馳走してくれた時から彼が作ってくれていた
のだという事に気が付く。
「私、ダニエルさんの作るラテ凄く好きです」
「す...好き、ですか？」
「好きです」
耳を真っ赤にしながら照れている彼を見てラテ
を褒められる事がそんなに嬉しかったのだろう
かと、笑みが洩れた。
ここまで美味しくて私を虜にするのだから、作
っている彼は今以上に褒められるべきだ。
そう思っていると、恥ずかしそうに顔を覆った
大きな手指の間からちらりと目を覗かせる。
目だけを見ていても、嬉しそうでいて恥ずかし
そうにしている事は手に取る様に理解出来た。
「Aさんは大学生じゃないですか、それに
俺は高校生だし...」
「はい？」
「ダニエルでいいです、敬語も出来れば使って
欲しくないなぁって...」
突然言われた彼の言葉に戸惑いながらも、確か
に余り浸しくないからと理由で今まで敬語を使
って会話をしていた。
違和感を感じた事が無ければ、彼が大人びて見
える為か高校生だという事すら半ば忘れている。
「じゃあ...ダニエルくん？」
「そうです、敬語も要らないですから」
唐突に敬語を辞めて欲しいと言われても、今ま
でが敬語だっただけに堪らなく違和感がある。
が、彼がそうして欲しいと言うのだから断る理
由も無いのだろうか。
「言う通り敬語は辞めるから、ダニエルくんも
敬語は辞めて下さ...くれる？」
「もちろん！」
呼び方や話し方が変わっただけで幾分近くなっ
た様な気がする距離感にドギマギしながら。
甘いラテの入ったマグカップにもう一度口を付
けて見せた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 155人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
choi(プロフ) - maryさん» ジソンオンマタイミング！笑 母性本能全開のジソンさんにはオンマ的ドジも頑張ってもらわないと、と思いましてヽ(´o｀；にしても我ながら今のタイミングはちょっと！ですヽ(；▽；)ノ (2018年9月12日 19時) (
レス) id: 3ac3189961 (このIDを非表示/違反報告)
mary(プロフ) - あああああ！！ジソンオンマー( ＴДＴ)今は声かけちゃダメー( ＴДＴ)笑 (2018年9月12日 12時) (レス) id: d75f5942a5 (このIDを非表示/違反報告)
mary(プロフ) - ぜひ！！ぜひその番外編読みたいです！！( *´艸) (2018年9月12日 12時) (レス) id: d75f5942a5 (このIDを非表示/違反報告)
choi(プロフ) - maryさん» ジェファンとの絡みに反応下さるのmaryさんだけなので、密かに凄く嬉しいです！笑 番外編でダニエルくんとジェファンのお話を書こうかな...なんて思っちゃいますヽ(´o｀； (2018年9月12日 11時) (レス) id: 3ac3189961 (このIDを非表示/違反報告)
mary(プロフ) - ジェファンとの絡み待ってましたー！！やっぱりダニエルくんとジェファンくんの絡み大好きです(*´∇｀)もうウジンに何されたんだ！！笑 (2018年9月11日 23時) (レス) id: d75f5942a5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：CHOI | 作成日時：2018年7月9日 16時
