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#21 ページ21

spring moon #21

「さ、そろそろ帰ろうかな...」

そう言い出したジソンの言葉に、テーブルへと
投げ出していたスマホ画面に目を向けてみれば
あれから随分の時間が経ってしまっていた。

彼がバイトを終えるのに幾分時間が余るだろう
と予想していただけに、なんやかんや他愛もな
い話に花を咲かせているうちに刻々と時間は過
ぎようとしていたのだ。

「雪がまだ降ってるから気を付けて帰ってね」

「Aは帰らないの?」

「もう少しだけこうしてるよ」

「積もる前に帰んなね」

着て来ていたコートを羽織り直してそそくさと
荷物を纏めたジソンはふわふわと手を振りなが
らカフェを出て行った。

自分の座っている席から見えるジソンの後ろ姿
を律儀に見送りながら、無事に家に着ける事を
願って吐息を洩らした。

降り続く雪に目を向けては、このままでは一晩
もあればまた直ぐに積もってしまうだろうと予
想をしてみせる。

「ヌナ、もう上がるよ」

背後から声を掛けられる為、振り返ってみれば
既にカフェの制服から学校の制服へと着替え終
えている彼が経っていた。

飲みかけていたラテを一気に飲み干して、隣の
椅子へと置いておいた荷物を纏めて立ち上がる。

脱いでいたコートの袖に手を通そうとすれば彼
が手を貸してくれる為、その距離に目眩がして
しまいそうになった。

「ありがとう」

「ううん...帰ろう、ヌナ」

「うん...」

そっと繋がれた大きな手に、遠慮を感じながら
も強く握られていて逃げる事なんて出来ない。

彼はどういうつもりで、どんな気持ちで私の手
を取ったのだろうと頭はもやもやして仕方ない
のだ。

雪が降っているというのにも関わらず、傘すら
ささないで歩みを進める。

既に降り積もっている雪をスニーカーで踏んで
歩けば、相変わらず不思議な音がぎゅっぎゅっ
と鳴り響いた。

「ヌナ、さっきの人は?」

ぽつりと呟かれた彼の言葉に、道に広がった雪
に向けていた視線を上げて数歩前を歩く彼の後
頭部を見つめた。

「大学の友達だよ、選択が同じで仲良くしてく
れてるの」

「仲が良いだけで...他には無い?」

「他って...」

それ以上を言う前にゆっくりと足を止める彼に
合わせて私も同じ様に歩みを止めて彼の言葉を
待った。

気付いてしまう、少なからず彼がジソンに嫉妬
してくれているという事に。

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作品ジャンル:恋愛
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choi(プロフ) - maryさん» ジソンオンマタイミング!笑 母性本能全開のジソンさんにはオンマ的ドジも頑張ってもらわないと、と思いましてヽ(´o`;にしても我ながら今のタイミングはちょっと!ですヽ(;▽;)ノ (2018年9月12日 19時) (レス) id: 3ac3189961 (このIDを非表示/違反報告)
mary(プロフ) - あああああ!!ジソンオンマー( TДT)今は声かけちゃダメー( TДT)笑 (2018年9月12日 12時) (レス) id: d75f5942a5 (このIDを非表示/違反報告)
mary(プロフ) - ぜひ!!ぜひその番外編読みたいです!!( *´艸) (2018年9月12日 12時) (レス) id: d75f5942a5 (このIDを非表示/違反報告)
choi(プロフ) - maryさん» ジェファンとの絡みに反応下さるのmaryさんだけなので、密かに凄く嬉しいです!笑 番外編でダニエルくんとジェファンのお話を書こうかな...なんて思っちゃいますヽ(´o`; (2018年9月12日 11時) (レス) id: 3ac3189961 (このIDを非表示/違反報告)
mary(プロフ) - ジェファンとの絡み待ってましたー!!やっぱりダニエルくんとジェファンくんの絡み大好きです(*´∇`)もうウジンに何されたんだ!!笑 (2018年9月11日 23時) (レス) id: d75f5942a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:CHOI | 作成日時:2018年7月9日 16時

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