32話 面倒くさい関係 ページ33
「あのAちゃん」
『あ、はい。何でしょう帝襟さん』
モニター室で道具の中身を整理していると、少し困ったような顔で携帯を渡してきた。あれは私のスマホだ。
「Aちゃんのお母さんから電話がかかってきて…」
『……、嗚呼、すみません。何かご迷惑をかけましたか？』
「今すぐ娘から電話をかけさせろって…」
数秒考えてから自分のスマホを受け取る。すみませんと再度謝り部屋を出た。うーん、凪くんの言葉を借りるならめんどくさい。と番号をタップした。
『…もしもし』
「A？久しぶりね、そっちはどう？」
『…いや、もう慣れたけ、』
「何でお母さんが電話したか分かる？」
言葉を遮られ頭が痛くなる。平常心平常心…と目を瞑る。あー、もう。めんどくさいな…
『…模試の結果？』
「そうよ。前回より総合評価が下がってるわ。あなたこんなので医学部に行けると思ってるの？」
『…』
「そもそもそのスポーツドクター？になる必要あるの？医師免許取ったからってすぐに活動できる訳じゃないんでしょ。私もお父さんも言ってるけど別に無理して医者にならなくていいのよ？」
無理して、って何。言葉の端々に反応してしまう。イラつくのを抑えるようにピアスを触る。
私は正直親との折り合いが悪い。今に始まったことではなく、昔からだ。私のやる事なす事を頭ごなしに否定してくる。
「何でそんな不安定な道に行こうとするの。あなたにそんな覚悟ないでしょう？昔からそうよ飽きっぽい所があるんだから…それだったらお父さんの会社を手伝った方がいいに決まってるわ」
「ともかく今日明日にでも家に帰ってきて。一度話し合いましょう」
私は小さく『…そうだね、わかった』と小さく返事をした。そして電話を切りしゃがみ込んだ。
『……はぁ…』
何で親のご機嫌伺って生きてるんだろ。
「…Aちゃん？大丈夫…？」
『あ、すみません帝襟さん…うちの親がご迷惑を…』
扉から顔を覗かせる彼女に笑いかけながら立ち上がる。そして電源を切ったスマホを渡す。やだなどうせここの連合に何度も電話かけたんだろうな…帝襟さんにも絵心さんにも申し訳ない。
『すみません帝襟さん。急で申し訳ないんですけど私午後から一回家に帰りますね』
「今から？一日休みとかも取れるけど…」
『…いえ、大丈夫です』と引きつった笑顔でそう答えた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2261人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
苺子(プロフ) - ぺんぺんさん» コメントありがとうございます！読んで頂き嬉しい限りです(*´꒳`*)これからもよろしくお願いします！ (2023年3月18日 23時) (
レス) id: b537714951 (このIDを非表示/違反報告)
ぺんぺん(プロフ) - 最初からとっても面白いので、ついつい熱中して呼んでしまっています･･･。これからも頑張ってください！！ (2023年3月17日 20時) (レス) @page28 id: 0923c869aa (このIDを非表示/違反報告)
苺子(プロフ) - ユイさん» コメントありがとうございます！今あなた様に出会えたことに感謝です((更新頑張ります！(*'▽'*) (2023年3月15日 22時) (レス) id: b537714951 (このIDを非表示/違反報告)
ユイ - 初コメ失礼します!もっと早く見つければ良かったです。好きです!応援してます (2023年3月14日 13時) (レス) id: 0e75ff5f17 (このIDを非表示/違反報告)
苺子(プロフ) - アレンさん» コメントありがとうございます！雪宮くんに振り回される夢主です((これからもよろしくお願いします…！ (2023年2月4日 11時) (レス) id: b537714951 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：苺子 | 作成日時：2022年11月29日 16時
