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▽Pain and medicine ページ2





島に来てからまだ数日。

私のような口下手なタイプは、周りの人とそんなに直ぐに仲良くなれるはずもなく、当然のように窓辺で1人、本を読んでいた。

みんなは各々の部屋にいるのだろうか?広間にみんな居ないのも珍しいなぁ。

そう思い、私は快晴の空を見上げ、窓際に座った。外にさえ出なければ、ちゃんと涼しいのでこの館はとても快適だ。それこそ少しでも外に出るのが億劫になってしまうくらいに。


本の少し分厚い硬い表紙を開くとそこには英語で示されるタイトル。この本はイギリスから、日本に取り寄せられた本のようだ。書庫で見つけたのだが、少し古びたアンティークな雰囲気に寄せられて手に取ってしまった。イギリスの御伽噺らしい。挿絵には可愛らしい動物が描かれていた。日本語訳はなく、1から自分で考えて読むしかないのだ。

よし、がんばろう。少し難しいかもだけど、高校生なんだし、これくらいは読めるよね…。

そう決意し読み出すと、あっという間に没頭してしまった。読み出したのは午前10時頃。柱に掛けられている時計は、もう既に短い針が1の文字を指していた。現時刻は1時12分。

そろそろみんな集まる頃だろうし、会っても何話したらいいか分からないもんなぁ…。取り敢えず、部屋に帰ろうかな。

そう思い、立ち上がった。


「ねぇねぇ、ゆっきーのその本はなぁに?」


「えっ…!」


立ち上がった瞬間、急になんの前触れもなく、後ろから声をかけられ、心臓が跳ね上がる。

反射的にくるりと半回転し、そのまま前を向いたまま、後ろに素早く後ずさった。すると、本当に小さな誰も転ばないような段差に見事、かかとを引っ掛けて、思いっきり尻もちをついた。


「さ、沙耶香ちゃん…。驚かせないでよぉ…。」

「えっ!驚かせちゃった!?ゴメンね!?」


むしろ私の過剰すぎるようなリアクションに沙耶香ちゃんは戸惑っていた。こんなオーバーなやつで、非常に申し訳ないと思う。本当に泣きたい。


「ゆっきーが本読んでたから、気になって声掛けちゃった!タイトルはー…英語?」

「うん、そうなんだ。これはイギリスの御伽噺なの。」

「へぇー!」


とても興味津々で可愛らしい沙耶香ちゃん。なんだかころころと表情が変わって面白い子だなぁ…。

本を不思議そうな顔でパラパラとめくる沙耶香ちゃんを横目に、そんなことを考えていた。

すると突然、はっ!と沙耶香ちゃんが顔を上げた。


「そういえば!ゆっきーに聞きたかったことがあるんだ!!」

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作者名:和椛 湊 -wakaba sou- | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年3月7日 23時

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