【本編小説】この夏は君と。 (ページ10)

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……眩しい。近くにある毛布を手繰り寄せると姉さんの怒号が聞こえてきた。

「憂、もう晩御飯！早く起きなさい!!」

　その声でぱちっと目が覚めたが、毛布の温もりのせいで再び眠気が襲いかかった。しかし、それを姉さんが毛布を剥ぎ取り阻止する。毛布を剥ぎ取られたおれは急激な温度差にびっくりしたが、目が冴えた。「さむっ」と呟きながらゆっくりと体を起こす。ぼんやりとした目で床を見るが、散らかした制服はハンガーにかけられている上に、シャツは見当たらない。姉が片付けたのだと理解するまでにそう時間はかからなかった。顔をあげると、呆れた表情の姉が腕を組んで立っていた。

「あのねえ、寝るならせめてYシャツもってこいっていつも言ってるでしょ」
「あ～……うん」
「手紙も読んでないでしょう」

　うんうん、と適当に相槌を打つが、実際のところ姉の話はそこまで真剣に聞いていない。

「とにかくご飯だから降りてきて。あと手紙も読んで」
「はーい」
「まったく、誰に似たんだか……」

　そんなことをぶつぶつと言いながら、姉さんは部屋を出ていった。既に時計の針は7時を指している。3時間くらい寝ていたんだろうか。それにしては眠い、眠すぎる。閉じそうな瞼を必死にこじ開け、ベッドから降りる。お腹が空いているということもあり、おれは眠いのを我慢しながらリビングへ向かった。

　リビングに着くと、既に姉はご飯を食べていた。夜ご飯はカレーのようだ。カレーのスパイシーな香りが漂ってくる。おれが降りてきたことを確認した母さんはおれの分を用意し始めた。姉さんに言われたとおりこの間に、届いた手紙を読んでおこう。
　テーブルに置かれた真っ白な封筒を手に取る。厚紙なのか、しっかりとしているが触り心地は良い。閉じ口の方を一度自分の顔に向けビリッと封を切って、封筒を逆さにするとばさばさとテーブルに白い紙と写真が落ちる。そして最後に、からんからんと高い音を立てながらなにかが落ちてきた。よく見てみると、高級そうな宝石が嵌め込まれた金属製の鍵だった。電気の光に照らされている宝石は銀色に輝いている。落ちた鍵を見た姉さんがげっ、としたがおれは気にも留めず写真を手に取った。