喧嘩 ページ7
toa side.
外のひんやりとした空気を身体に纏いながら
暖房の効いた建物内に足を踏み入れる。
足早に控室を目指して、扉を開いた途端斗亜の耳に飛び込んできたのは風雅の怒号やった。
「やからいつも言うてるやん!お前もーちょい危機感持てって!」
『なんでそんなこと風雅に言われなあかんの!?』
楽屋の中央、向かい合って怒鳴り合ってるのは風雅とAで。
その周りではなんとか二人の間に入ろうとする彪太郎と、
またやってるわって顔で呆れてる琉巧がいて。
「ちょ、琉巧…なにあれ、どないしたん」
「あ、斗亜おはよ」
何があったんか全くわからんまま近づいた斗亜に、
いつものやつやって、って相変わらず呆れたような顔の琉巧。
その間にも二人の言い合いはヒートアップしていってて。
「さっきのだって俺がおらんかったらどうするつもりやってん!?」
『そっ、れは………ちゃんと断れるもん!』
「断られへんからああなってたんやろ!」
断るとか断られへんとか一体何の話。
そう思ってたら斗亜の気持ちを察したのか、隣の琉巧が口を開いた。
「ここくる途中でAちゃんが男に声かけられてん。ナンパな。で、Aちゃんが連れていかれそうになったんをたまたまふうさんが見て」
「あー…」
…なるほど。
確かに、風雅が一番嫌がりそうなシチュエーションやな。
「それだけでもふうさん怒りマックスやのに、Aちゃんアホやから怒られて言い返してもーてん」
アホよなぁ、大人しくごめんなさいしとけばええのに、なんて琉巧がため息をついた。
「だいたいお前は昔っから、」
『もううるさい!そんなこと風雅に言われたくないし、風雅には関係ないやん!』
あ。Aほんまにあほや。
風雅の地雷踏んだ。
斗亜の思ったとおり、
「関係ない」って言われた風雅の顔から表情が消えた。
「……あっそ。ほんなら好きにせえや」
『っ、ふう、』
Aの言葉を無視するようにわざとらしく目を逸らす風雅。
あーもう、ほんまにアホやん。
空気に耐えられんくなったのかAが楽屋の入り口に向かって走り出して
ドアノブに手をかけようとした瞬間、
タイミングよく開いた扉からは西村くんが現れて。
「うわっ、びっくりしたー…なん、Aどこいくん」
『っ、ちょっと、外』
「はぁ?外って…っおいA!?」
バタバタと走って楽屋から出ていくAを
西村くんが呼び止めるけどAは立ち止まらんし、振り返らんかった。
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作者名:しゃけ | 作成日時:2024年1月9日 23時