混血皇女【オリジナル】 (ページ4)

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狭き籠の少女 3 ページ4

江戸というのは華やかな場所で、厳島の景色しか知らない少女はかなり驚いた様子だった。

縄は解かれ、取り敢えず監視下においては自由になった。

「わ…すごい…！」
「……まったく、育て方を間違っておる。やはり狐が育てたからじゃ。」

「……取り乱しました。
何しにここへ来たのですか？」

祖父なニヤッと笑ったが少女は気づかずにいた。

「ま、お楽しみだ。」
「？」

何かとは見当もつかないのでしばらく考えながら歩いていく。

山を越え、野原を越えた先にある大きな街。
祖父の行く所とはここなのか。

「…ここが……目的地………？」
「ああ。」

華やかな街だ。でも、江戸や龍の国での城下町のような活気はない。お淑やかとでも言うべきか。

「ここは……どこですか？」
「吉原、という街だ。静かで良い所だろう。」

無理矢理頷いた。
本当はこの静けさから凄く嫌な感じがしたからだ。わざわざ嫌っている孫をいい所なんかに連れてくる訳がない。羽菜はそう踏んでいた。

「とても、良いと思います。華やかでもあるんですが、落ち着きのある感じがとても気に入りました。」

羽菜が半分程度嘘で、半分程度本当の事を言うと、素直に信じてくれている。

しかし、吉原が女にとって地獄のような場所である事に出会うのはまだ先の事であった。