混血皇女【オリジナル】 (ページ23)

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化物狐の血筋 1 ページ23

やがて、時が満ち、人間と“化物”の子供が生まれた。

｢この子の名前、もう決まってるんだよね｣
出産で疲れ果て、息を切らしながら涼翔は飛鳥に聞いた。
｢うん。この子の名前は、蓮に月って書いて“蓮月”。｣
｢…え？それって、僕の名前……｣

にっこりと微笑みながら、彼は続けた。

｢蓮月ってのはさ、俺らが初めて出会った時の羽菜の呼び名だよね。それは、俺らが出会えた証拠だから。
それに、この名前可愛いし。他の遊女よりも、ずっとずっと、の源氏名が1番だから。｣

すやすやと眠る蓮月は、飛鳥の寝顔そっくりだった。

｢そっか。……この子が、普通の人じゃないのはもう分かってるの。だけど、僕は飛鳥と蓮月と、3人で一緒にいたい。｣

我が儘、かな？と笑う羽菜の頭を撫でる。

｢馬鹿。そう思うのが普通だ。
例え蓮月が普通の人間じゃなくても、蓮月は立派な俺らの可愛い娘だ。｣

ふと、その言葉を聞いて、羽菜は思い出した。
｢真優と、美優…｣

吉原で可愛がっていた、子供。
自分に不思議と似ていて、娘のように思っていた、双子。

｢え？誰…？｣
｢吉原にいた時に、不思議と僕に似てて可愛がってた双子がいたんだ。
いつの間にかいなくなっちゃったけど…
きっと、元気だよね。それに今は、蓮月がいる。｣

少女は母となり、少年は父となる。
ひとつずつ強くなる彼らに、その数年後、悲劇は起こる。