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「はい、冷めないうちにどうぞ」
「やった、追いチョコ」
「ふふ、これチョコに入る？」
「ホットチョコレートなんだからチョコでしょ」
「まぁ、そっか」
キッチンで作ったホットチョコレートはそろいのマグカップに同じ量入っている。
雅紀が好きだと言った薄いグリーンの四つ葉のクローバーがあしらわれたこのカップも二人で選んだ品だ。
真上にぶら下がって私たちを照らすペンダントライトと一緒に持っていくことが決まっている。
テーブルの椅子で向かい合って、ペアのマグカップを傾ける。
恋人たちの夜はだいぶ後ろへ行ってしまっただろうけれど、朝が来ないうちはまだその延長だと思うことくらい今日は許してほしいものだ。
「ねぇA、そろそろソファとか探しに行こうよ」
「そうだねぇ…家具も決めないとだもんね」
「あの部屋リビングが広いし、ちょっと大きいのがいいな」
「二人用じゃなくて？」
「三人用…はさすがにデカイだろうけど、二・五人用くらいは欲しいな。Aとソファでイチャイチャしたいし」
「……なにそれ」
「えー、いいじゃん」
ぷくっと頬を膨らませながら雅紀がホットチョコレートに口をつける。
今日…いや正確に言えば昨日雅紀に渡すために作ったチョコの材料として余分に買っていた板チョコが余っていたから作ってみたけれど、こんなものをわざわざ作って飲みたくなるくらいにはまだ私は甘い余韻から抜け切れてないらしい。
「ねぇ、それ狭い方がくっつけるって考え方はないの？」
「あ、確かに。Aってば頭いい」
顔を見合わせて同時に吹き出す。
こんなことでケラケラ笑う雅紀も私と同じかもしれない。
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年2月14日 18時
