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策士 ページ5

<策士>


編集が、終わっていない。


前々から計画していた遠出デートの当日。
この日なら大丈夫と決めた日。


―てっちゃん、今日、動画上げる日なの?


朝、洗面所で支度をしていたらiPhoneを片手に花が爆弾を投下してきた。

「………え?」

無言でLINE画面を向けてくる。


==おはよう!今日、てつや動画アップ当番だから、夕方頃まで忘れてそうだったら声掛けてもらって良い?ごめんね(´・×・`)


むしめがねぇぇええぇ!!!!!


俺はこれ以上ないくらい間抜けなツラ、
花は至って普通の顔で正対している。

『編集、終わってるん?今日の分』
「……」
『………てっちゃん?』
「………」
『てっちゃ〜〜ん?』
「……やって、ませ…ん」

はい、残念でしたー
花の気のない声が洗面所に響く。

「ダメ!待って!!花!!」
『はぁ?何言っとるん?!』
「オレは今日!花と!!デートがしたいの〜〜!!!」


俺のだらしなさが原因で、デート日と動画アップ当番の日が重なった。そんなの関係ねぇと強行突破するつもりだったのに虫眼鏡に先手を打たれた。

花は編集が終わらない限りどこも行かないの一点張り。
悪事がバレた俺は、玄関ホールに体育座りで泣きべそをかいていた。
すんすん、と鼻を啜る。


しばらくすると花が廊下から顔を出してきた。
それに気づいた俺はわざとらしく膝に顔を埋めて抗議の意を示す。
溜息と共にパタパタとスリッパの音が響く。

頭上に花の気配を感じた。
あ、怒られるんかな。

ぐいっ!!!
ちゅっ

埋もれていた俺の顔を両手で持ち上げ、
花がキスをしてきた。
突然のことに目をかっ開く。
その後も角度を変え、深く深く何度も続く。
いつの間にか俺は花の腰に手を添えて、
その行為を受け入れていた。

息苦しさから唇を離したら、
つ……とお互いの唇の間に糸が引かれる。
花の唇はもぎたての果実のように朱い。

『……続き』
「へ?」
『続きは、今日の夜、アップされた動画、見てから』

すくっと立ち上がり、またパタパタと音を鳴らして花はダイニングへと戻っていく。

「…っっ〜!はい!します!!しますします編集!もー今すぐにやりますー!!」



馬に人参、アメ玉をしゃぶらせる、か。
いいように扱われてることない?俺。
ま、いっか。
単純な俺はひとまず朝飯を食うため花の後を追うことにした。


end.

*********
茶色さんの危機管理能力高すぎ。
無事、21時に公開達成。

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chochochorocco(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» Mrs.ぱんぷきん様 嬉しいコメントありがとうございました。今後ともご贔屓くださると幸いです。次回作以降もよろしくお願いいたします。 (2020年5月27日 1時) (レス) id: b0e2c66e5f (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - Morningから読ませていただいて、とてもキュンキュンさせていただいてます!これからも応援してます!!! (2020年5月26日 18時) (レス) id: 534e341e06 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Hina | 作成日時:2020年5月25日 15時

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