Morning / Side;子犬 (ページ8)

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Morning / Side;子犬 8 ページ8

『よし。じゃあ動画の準備頑張ってね。お昼、ちゃんと何かしら食べてよ？』
「くそ、わーてるて。ほれ、とっとと行っちまえぇ！」

俺の軽口に満足したのかケラケラ笑ってひらりと立ち上がり、ドアノブに手を掛けた。
行ってきまーす、と言いながら身体を外へ滑らせ、正に玄関扉が閉じようとしたその時。

『あ、唇。リップ付いちゃってるから早く落とした方が良いよ～。それ、ティントタイプだからほっとくとAmazon来た時、女装おじさんだと思われちゃうよーん』

これでもかって悪い顔をした花が最後に爆弾を落としていった。

パタン

扉が閉まって静寂がやってくる。

なんだったんだよ。
この一瞬。
あいつ、時間大丈夫だったんか。

「くっっっそおぉぉおぉおー！」

自分の巻いたタネとはいえ、
あまりのやり込まれように腹が立ち
毛量たっぷりの銀髪を掻きむしった。
面白くねぇー！

―サブチャンのカメラでも回ってれば良かったのに。
―くそ。くそおぉ。覚えてろ、花のやつ。

独りごちながら、踵を返し廊下を戻る。
腕の中には花の気配が残っている。
さっきまでのあの不安な気持ちはとっくになくなった。
代わりに花の帰りを待ちわびながら、何をやろうかという活力が湧いてきた。

―それでいいんだ。

顔洗う
皿洗う
Amazon来る
動画の準備

―はぁ、何からやるがや。

―…いや、まずは一服だな。

パーラメントを取りにダイニングを目指すところから
今日の俺の1日をスタートさせる事にしよう。

end.

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お読み頂きありがとうございました。
朝の一風景を橙さん視点で描きました。
またも橙さんの髪色は銀髪の設定です。
時折見え隠れるする橙さんの繊細なところが大好きです。

お楽しみ頂けましたら幸いです。