運命なんて信じない８ (ページ10)

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俺の話を黙って聞いてた舞香。

「蓮くんの気持ち、分かったよ。」

『ありがと。』

「それなら私も同じ。」

『同じ？』

「そう。同じだったの。私もあの時、一人で演じてる時、蓮くんへの気持ちを演技に表してた。まさか相手役が蓮くんだとは思わなくて。」

『知らなかった。』

「もうあの時、蓮くんのことが好きだったから。抱きしめられた時、私も同じだったの。小さい頃からずっ見てた夢で私を抱きしめてくれる人と同じだったの。蓮くんの腕の中が。」

『舞香それ…』

「不思議よね。こんなことあるの？って。」

『うん。あるんだよ。運命ってさ。』

「運命ね。そう、お互いが運命だったのね。」

『そうだよ。俺と舞香は運命なんだ。だから必ずどんなことがあっても離れないんだ。そうだっただろ？』

「うん、そうね。」

『だから、俺はその運命を表したい。舞香と一緒に。』

舞香は一瞬、困惑した表情をした。

「うん。私も蓮くんへの想いを表したい。いい？」

『ああ、もちろん。』

吹っ切れた表情の舞香を抱き寄せる。

「蓮くん。」

『んー？』

「ずっと前から好きよ。」

ぎゅっと、しがみついてくる舞香。

『俺もずっと前から好きだよ。』

「うん。知ってる。私はれんくんのまいかおねーちゃまだから。」

『ふはっ、久々に聞いたら恥ずかしいわ。まいかおねーちゃま。』

『いや、俺の大切な舞香。愛してるよ。』

「うん、私も愛してる。」

あの時のように二人惹き寄せ合うように唇を重ねた。
そして撮影が始まった。

15年前の映像が流れる。
その映像を背景に“ray”が現れた。
あの時のような悲しみと迷いを背負って。
そこに俺が現れ、あの時と同じように抱きしめる。

背景が一瞬にして変わる。
柔らかな光と色とりどりの花。
少し離れた所から子供の笑い声が聞こえる。

そこには凜と遥香
そして今の俺と舞香がいる。
柔らかな光の中、家族４人で笑い合っている。
無邪気に遊ぶ子供たちを見て微笑む舞香。
そんな舞香を愛おしく見つめる俺。

舞香の肩を引き寄せ
二人で子供たちを見つめる。
幸せを噛みしめる二人の姿と
15年前の抱きしめ合う二人の映像が重なり合う。

「運命は必ずそこにある。二人の側に。」

そして、撮影は終わった。