運命なんて信じない８ (ページ38)

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舞香が退院した。
久しぶりの家族４人での夕食だ。
今晩は遥香が作ってくれた。

「あら！美味しそうね。遥香、上達したじゃない。すごいわね。」

遥「ほんと？ママの味にはまだまだだけど、頑張ってみたの。」

「すごいすごい！この野菜スープはパパのね？」

遥「そう。ママみたいな味にはまだまだなの。」

「そんなことないわよ。ね、パパ。」

遥香が舞香の野菜スープを作ってくれた。
俺が一番好きな舞香の料理。
母から娘にこうやって受け継がれるのかと
何だか目の奥がツンとしてきた。

『では、ママの退院おめでとう。乾杯！』

all「乾杯！」

「あら！美味しい。スープちゃんと煮込んだのね。」

遥「そうなの。２時間くらいかなぁ。」

「頑張ったわね。後で時短の方法教えてあげるわね。」

遥「えー？時短できるの？」

遥「もちろん。ママはそうやってたわよ。仕事してから作るでしょ？それくらいしないと。」

舞香と遥香の会話を聞いていると

凜「父さんさ、泣きそうなんじゃない？」

『そうじゃないよ。目にゴミがさ。』

凜「ふーん。そっか。」

凜にはバレバレだ。

久しぶりの家族水入らずの食事は
話が止まらず、４人ともずっと笑顔だった。
このままずっと４人で過ごせたら
どんなに幸せなんだろう。

名残惜しいまま、それぞれ部屋に戻った。

「ほら、早く寝なさい。明日もあるのよ。」

遥「はーい。ママも早く休んでね。パパ、ママのこと開放してよね。」

『はいはい。遥香に独り占めされたからパパは今からママのこと独り占めすんの。』

凜「おい、父さん。それはだめだって。母さん休めないだろ。まがりなりにも医者なんだから、その辺ちゃんとしろよな。」

「二人ともありがとう。ママは大丈夫よ。パパのこといじめないの(笑)」

凜遥「はーい。おやすみ。」

舞香の帰宅がこんなにも嬉しいのかと
ちょっと嫉妬してしまうくらいだ。
二人ともママが大好きなんだよな。

久しぶりの寝室。何か緊張してきた(笑)
別に病室でも一緒に居たのにな。

「やっぱり家のベッドは最高！」

って、子供みたいにダイブしてる(笑)
全く可愛いよな。

『ほら、おいで。』

両手を広げると舞香は腕の中に飛び込んできた。
病室でも抱きしめていたけど
やっぱり我が家で抱きしめるのは違う。

「あー、蓮くんだ。ホッとするね。」

おでこを俺の胸にぐりぐりしてる。

『舞香だ。俺もホッとするよ。』

抱きしめる腕の力を強める。