運命なんて信じない８ (ページ21)

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舞香がすい臓癌？

神「CA19-9、SPan-1、DUPAN-2、CCA19-9、SPan-1、DUPAN-2等ですが、やはり数値が高いです。詳しく検査をしたいのですが、MRI検査をしますがよろしいですか？」

『はい。お願いします。』

神「分かりました。今日はこのまま安静のため入院していただき、明日検査をします。」

『分かりました。よろしくお願いします。』

神林医師は、若いのに冷静な判断で舞香を診察していた。
初対面だが、信頼できそうだった。

舞香の病室へ凜と向かった。

Knock Knock

『舞香、入るよ。』

「…どうぞ…」

凜「母さん！」

「凜、ごめんね。お母さん倒れちゃった。」

凜「母さん…」

「朝ごはん食べなかったのよ。だから、貧血。もう大丈夫よ。」

凜「…ちゃんと食べてよ。俺、見学してたんだからさ。」

「ごめんね、ちゃんと食べるわ。」

舞香は顔色こそあまり良くないが
普段の舞香と何ら変わらなかった。

「パパ…ごめんなさい。」

『いいんだよ。全く、朝食抜くからだぞ。』

「ほんとね、ごめんなさい。」

『今日は大事をとって入院して、明日検査をするそうだ。念の為にね。』

「検査を？もう大丈夫なのに。」

『いや、せっかくだしこの際、診てもらおう。人間ドックのつもりでさ。』

「…そうね。明日は特に忙しくなかったからそうするわね。」

『何か必要なのある？』

「大丈夫よ。一式、部屋に揃ってるから。ごめんなさい。せっかくのオフだったのに。」

『いや、いいんだって。ここも見たかったしね。とりあえず、一旦、家に戻ってくるよ。』

「はーい。気をつけてね。」

俺は泣きそうな凜を連れて部屋を出た。

凜は必死で涙を堪えてた。

『凜、しっかりしろ。ママに気付かれたら。』

凜「うん。ごめん。ね、父さん。」

『ん？』

凜「母さん、すい臓癌じゃないよね？」

『…それは分からない。腫瘍マーカーの数値も高い。冷静に判断しないとな。』

凜「父さん、やっぱり医者だね。現場離れてても、ちゃんと。」

『当たり前だ。今でも勉強してるぞ？』

凜「俺はまだまだだよ。しっかりしないとな。」

『身内の病気こそ冷静に判断しないとな。それから遥香には貧血で倒れたことにしよう。いいな。』

凜「うん、分かった。」

凜を残し、俺は自宅へ戻った。
震える手でハンドルを握りしめる。

最悪の事態にはならないようにと
ただ心の中で願うだけだった。