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処置が終わった舞香。
ス「心配した喉頭痙攣も低体温もありませんでした。搬送と処置までの時間が早かったので、危険は脱したと思われます。心のケアをご家族でお願いします。」
『ありがとうございました。』
舞香、こんなことするまで追い詰めてたなんて
俺は全く気が付かなかった。
母親として責任を感じて自分を責めていたこと。
舞香のせいではないのに…
もっと話を聞けば良かった。
もしかしたら舞香は泣かなかったのではなく
泣けなかったのかもしれない。
それに気が付けない俺はバカだ。
ごめん、舞香。
夜が明けた頃、舞香は目を覚ました。
薬のせいでまだボーッとしている。
『舞香。目覚めた？』
「……蓮くん…私…」
『ごめん。ごめんな、舞香。』
舞香の頬を撫でる。
舞香の目から一筋、涙が溢れてきた。
「わたし…」
『もういいよ。泣いていいんだ。』
「……蓮くん…」
『悲しくて辛かったんだ。泣いていい。俺の前では泣いていいんだ。』
舞香の手を握りしめる。
「っ……ごめんなさい…私がちゃんと…」
『違う。舞香のせいじゃない。あの子は。』
「でも私が気をつけて…」
『舞香がそうやって自分を責めてばかりいたら、あの子はきっと心配するよ。ママ大丈夫って。』
「蓮くん…」
『凜も遥香もあの子も、舞香の、ママの笑顔が大好きなんだ。だからもう、責めないで。泣きたいなら思い切り泣いていいんだ。ね、舞香。』
「……っ！…蓮くん…(泣)…」
舞香の体を起こし、腕の中に抱きしめる。
泣きじゃくる舞香の背中を撫でながら
舞香の悲しみと辛さを少しでも分かち合いたいと願った。
夫として父親として１番側に寄り添って
舞香と二人であの子を思ってやりたい。
俺はこの時、初めて舞香と泣いた。
あの子を思って流した涙を忘れない。
退院後、俺と舞香は小さな天使の像を見つけた。
俺の手の平に包めるくらい小さな天使。
どうかあの子を光の向こう側で守ってください。
そう願って俺たちは、その天使をあの子の代わりに
ずっと側に置くことを決めた。
「蓮くん、ありがとう。」
『ん、何が？』
「一緒に泣いてくれて。私、泣いたらだめだって思ってたの。泣けなかった。」
『俺こそ舞香の気持ち、分かってなかった。』
「ううん。あんなことした私と今もこうして一緒にいてくれるだけでいいの。」
『舞香…』
「もう二度とあんなことしない。あの子のためにも。」
『俺を１人にしないでくれよ。』
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作者名：ちょ | 作成日時：2021年11月20日 18時
