運命なんて信じない８ (ページ14)

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それからの舞香は
子供たちの前ではいつものママだったが
ふとした瞬間や子供たちが寝たあと
１人で宙を見つめていることが多くなった。

泣いているのでもなく
ただ、宙を見つめている。

俺はそんな舞香に何て声をかけたらいいのか分からず
ただ側にいることしか出来なかった。

そんな日が続いていたある日。
3か月くらい経った頃だった。
舞香の様子が普段と変わらなくなり
俺は安心しきっていた。

撮影が押してしまい、22時を過ぎた。
舞香に帰る連絡をし、車を走らせていた。

信号で止まった時
何故か妙な胸騒ぎがした。
理由は分からない。

俺は自分の勘を信じ、車を飛ばした。
とにかく嫌な予感がした。
自宅に着くとシーンと静まり返っている。
凜と遥香の寝顔にキスして部屋を出る。

『ただいまー。』

寝室に舞香はいない。
どこにいる？

勉強部屋を開けると、机に伏せて寝ている舞香。

『舞香、ただいま。』

寝ているからか反応はない。

『こんなとこで寝たら風邪引くから。』

肩を揺らして起こそうとすると
椅子から崩れ落ちた舞香。

意識が殆どない。

机の横のゴミ箱には薬のアルミ殻があった。
睡眠導入剤？

すぐに、実家へ連絡した。
俺はすぐに凜と遥香を車に乗せ
舞香を車へと運んだ。

うちの病院の救急搬送口にはストレッチャーが待機。
舞香を乗せ処置室へ。
俺は母さんが来るまで眠る子供たちと待っていた。
母さんに預けて俺も処置室へと入る。

ス「胃洗浄ギリギリのラインですが、どうされますか？」

『できることをしてください。お願いします。』

スタッフはすぐに胃洗浄の準備に取りかかった。
俺は舞香の体を左側臥位、頭低位にし、下肢を屈曲させた。

すぐ胃洗浄に取りかかる。
喉頭痙攣や低体温の合併症が心配されるが
舞香の命が最優先だった。

スタッフに処置を任せ処置室から出た。

母さんが言う。

蓮母「舞香ちゃんが悪いんじゃないのよ。」

『分かってる。』

蓮母「母親はね、分かっていても自分を責めてしまうの。それだけは分かってあげて。お願いよ。」

『…うん。』

俺は返事しか出来なかった。

舞香は流産のことで自分を責め続けていた。
俺はそれを分かっていたのに
何もしてやれなかった。

最近は元に戻ったと安心していたが
それは間違っていたんだ。

ス「ご家族の方どうぞ。」

処置室へ入る。