最終話 ページ41
「翔さん！起きてください！潤さんがお迎えに来ちゃいますよ！」
俺の身体を揺さぶる、なんとも色気のない起こされ方…。
新婚時代は毎晩、俺が抱き潰してたのもあって毎朝腕の中の新妻をキスで起こして…
そのあとイチャイチャニャンニャンして…
すげぇ濃い夜と、幸せな朝を迎えてたのに今では、すっかり夜の営みにも慣れたAは起きられないなんて事はなく…
それ以外にも夜、疲れない理由があったりで…。
被った布団から手を出してAをベッドに引きずり込んだ。
「もぉ！翔さん！」
「なぁ？もうちょい優しく可愛く起こしてくれねぇか？」
「最初はそうしてます！だけど翔さん、それじゃ起きないでしょ？」
ぷぅっと頬を膨らませて、恨めしそうに俺を見て…
「そんな怒るなって。腹の子に触るぞ？」
頬を指で挟んでプッと頬を潰す。
「なら怒らせないでください！」
「マタニティーブルーか？そういうのあるんだろ？潤が言ってたぞ？」
まだ性別もわからないのに大事な跡取りだと、俺の代わりに一生懸命、育児雑誌や育児教本を読み漁ってる潤。
あのバカ兄貴も自分がAと一緒に育てると、妊娠を伝えた瞬間から里帰りさせろと大騒ぎ。
「そんなに気負わなくても大丈夫だって言ったろ？お前はお前のままでいい。俺はそのままのお前を愛してる。」
チュッと額にキスを落とし、少しだけ出てきた腹をそっと撫でてると、Aの表情も柔らかくなった。
「可愛いくできるじゃねぇか。」
まぁ…たとえ怒ってたとしてもAは可愛いんだけど。
カーテンの隙間から差し込む朝日が光の道を作りAを照らして…
それはまるで天使が空から降りてきたみたいで…。
「天使…いや…天使は腹にいるから…。」
「うん？」
独りごちてる俺を不思議そうにきょとんと見ていて。
全く濁りのない澄んだ目…
透き通るような白い肌…
「やっぱお前はカサブランカだな…。」
カサブランカの甘美で魅惑的な匂いにつられて、吸い寄せられるように口づける俺は蝶…
いつまでもお前の魅力に酔いしれる…。
ーENDー
終わり
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作者名：しおなな
| 作成日時：2018年4月17日 19時
