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いつもの優しいゆったりと溶かされるようなキスとは違う、明らかにキスの先を予想させるような荒々しくも妖艶な舌の絡ませ方にクタリと身体の力が抜け、それを見計らった翔さんが私に少しだけ体重をかけソファに押し倒した。
クッションがよいソファによって、身体は痛くはなく、むしろふかふかソファととろけるキスで私の頭も身体もふわふわして気持ちいい。
どれだけ舌を擦り合い、絡ませて合っても飽き足らずにもっと欲しいと翔さんの首に手を回す。
いつもなら重ねる角度を変える時は、少しだけ唇を離すのに、今日は唇を押し付けたままで重なる角度を変える。
「…ふっ…んん。」
初心者の私は息継ぎが上手くなくて、気持ちよくてもっとしたいのに息苦しくなってしまう。
それを察した翔さんが唇を離してくれて、私の頭を挟むように腕をつき上から見下ろされる。
真剣で真っ直ぐな視線は、オトコの色気が滲み出てて、経験のない私でも欲しいと思ってくれてる事に嬉しさを感じて。
「誰に教わったんだ？キスが上手くなってる。」
「翔さん以外いないでしょ？」
「そうなんだけどな…真っ白なカサブランカを俺が穢してると思うと…。」
「…思う…と？」
「背徳感で興奮してゾクゾクする。」
右の口角をクイッと上げて妖艶に笑うと、再び唇を奪うように重ねられて…
耳の横にあった右手が肩から脇腹を通って、ニットの下に潜り込んできた。
ふわふわの心地よい気分からハッと我に返り、その手を掴むと、キスをやめた翔さんが不機嫌そうに私を見て。
「んだよ…煽ったのも誘ったのもお前だろ？今更やめねぇぞ？」
「違う…。」
「あ？」
「…ベッドがいい…。彼の部屋で初体験が夢だったの…。」
あまりにもありきたりで乙女ちっくな夢。
女子高生ならともかく、２３歳にもなる私が言っても可愛くもなくてイタイだけかもしれない。
だけど今日、翔さんのお家でそうなるんだったら、絶対に翔さんのベッドがいい。
小さく息を飲み、コクリと喉仏を動かすと素早く私の上から降りて私をソファから抱き上げた。
「ちゃんと捕まってろ。」
翔さんの首にギュ〜ッて抱きついて…
「お姫様抱っこでベッドに運ばれるのも夢だったの…。」
「…A…頼む。あんま可愛い事言うなよ…。暴走して優しくできなくなる。」
「…優しくなんて…望んでないよ…？」
ありのままの翔さんを知りたいの…。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2018年4月17日 19時
