１１４ ページ34
私達の知らないところで勝手に決まっていたお見合いからのスタート。
お互い育った環境や性格、好きな物や嫌いな物、何も知らないまま、カッコいいだとか優しいだとかよくあるきっかけで惹かれ、お付き合いを始め…
お見合いだから当然、あっという間に結婚まで決まった。
「もっともっといろんな事を話そう。どんな小さな事でも俺に言って？伝えて。些細な事でもお前の見てる物、感じてる物を俺も分かち合いたい。」
翔さんも同じ気持ちでいてくれるのが嬉しい。
私の気持ちを先回りして考えてくれる優しさがあたたかい。
「やっぱり…翔さんは私の王子様だった…。」
夢に出ていた王子様は、こんなに俺様でも乱暴な話し方でもなかったけど、もしかしたら裏の顔や本質はそうだったのかもしれない。
憧れは自分のいいように物事を捉えがちで、勝手に自分の理想を作り上げるから…。
「A？」
抱きしめられながら髪をゆっくり撫でられる手とその低い声が優しくてまた涙が溢れそう。
「いい加減に泣き止め。そろそろ帰らないと兄貴がうるせぇ時間になるぞ？」
「いや。」
「執事呼んでやるから。」
私から離れようとする翔さんにギュッと抱きつく。
「いや。もう少し一緒にいたい…。」
「A…じゃぁ俺が送ってやるから。な？それなら家まで一緒だしいいだろ？」
戸惑ったような声が聞こえて、翔さんを困らせてるってわかっても離れられない。
「翔さん、思ってる事を言えって言ったでしょ？」
「あぁ、言った。確かに今、言ったばかりだけどな？」
「けど？けど何？」
「俺の部屋に二人きりとか…拷問つーか…試練つーか…。とりあえず少し離れよう？」
「いや！」
子供みたいな我儘だってわかってる。
だけど…
だけどね…？
私も翔さんの事をもっともっと知りたいの。
「翔さん？」
「うん？」
「今日ね？」
「あぁ。」
「翔さん見せる為の勝負下着…着てきたんだよ？」
「………………あ？！！」
耳元で大きな声が聞こえて、ビクッと身体が震えたと同時にバッと身体が離された。
驚き目を見開いた表情のまま、信じられなさそうに私を見てるから、今更になって恥ずかしくなり視線をずらして俯いた。
「…A…俺の聞き間違い？」
「…いえ。」
「その言葉の意味、お前はちゃんと理解してんのか？」
「はい…。」
俯いてた顔をほっぺに手を添えクイッとあげられ、
「煽ったのはお前だからな…？」
そう言うと噛み付く勢いで唇を重ねられた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 451人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しおなな
| 作成日時：2018年4月17日 19時
