63.タイミングが悪い ページ24
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そう肩で息をしながら叫んだのは、如月だ。
尋常ではない様子に驚きつつ、さっき来客に対応した三年生が言った。
｢柏木なら、さっき誰かに呼ばれて出て行ったけど……｣
｢う゛ぞおおぉぉぉ……僕もう走れなぃ……｣
如月は殺されたゾンビの最期のような声を上げると、そのまま前のめりにぱたりと倒れた。
何が起こったのかわかっていない役員達は、とりあえず生徒会長に向かって手を合わせた。
＊
劇がどう終わったのか、正直よく覚えていない。俺はちゃんとできていたんだろうか？ 誰にも何も言われないから、多分大丈夫だったんだろう。
会長にキスされた時、何が起こったのかわからなかった。
サービスで変なアドリブを入れたにしても、タイミングがおかしい。劇が終わった後会長に訊いてやっと、自分は睫毛を直されたということと、最後の方の記憶が全部飛んでるということがわかった。
いつもの俺ならあんな事をされれば、いくら何でももっと他に方法があったでしょう、馬鹿なんですか？ と怒った筈だ。でもさっきは不快というより、寧ろ……。
……やめよう、と俺は紙コップに注がれたお茶を飲んだ。慣れない舞台で、気が動転してるだけだ。
一人で居る俺を気に掛けたのか、吉野と佐藤が話し掛けてきたけど、素っ気無い態度を取ってしまった。自分でも、今どんな感情なのかよくわからない。
｢忘れかけてたけどさ、会長ってイケメンなんだな｣
｢それな、客席からのキャーって叫び声凄かったし｣
その話は、今はしないで欲しかった。だって俺をこんな状態にさせてるのは、その人なのだから。
……そういえば、打ち上げにしては静かだな。ああ、いつものあのうざい奴が居ないのか。どこに行ったんだろう。居なくて良かった。どう接したらいいのかわからなかったから。
｢柏木ー、お前に用だって｣
その声で、俺の意識ははっと戻った。前を見れば、入り口に思いがけない人物が立っていた。木南だ。
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こめ(プロフ) - 蒼月さん» コメントありがとうございます！ひええ……勿体無いお言葉ありがとうございます:;(∩´＿`∩);:とても展開も更新も遅いのですが、頑張ろうと思います…！！ (2017年9月10日 22時) (
レス) id: 68f211f4d4 (このIDを非表示/違反報告)
蒼月 - 文章が綺麗でとても読みやすかったです。BL？は初めて読んだのですが、文のおかげで内容に入り込みやすかったです。この作品がとても好きなので、これからも更新頑張ってください！待ってます！ (2017年9月10日 21時) (レス) id: 7a41753020 (このIDを非表示/違反報告)
こめ(プロフ) - カジャさん» いえ、ゴンドラの唄の命短し恋せよ少女を元にしました。 (2017年8月15日 22時) (レス) id: c081f3254b (このIDを非表示/違反報告)
カジャ - 夜は短し歩けよ乙女からタイトルとってますか？ (2017年8月15日 17時) (レス) id: 6539cbd64d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こめ | 作者ホームページ：http://nanos.jp/chiy1/
作成日時：2016年11月5日 12時
