ep.85 ページ37
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Aは案外すぐに見つかった。
ホールを出て少し歩いたところの大きな窓の縁から腕を出して、外を眺めていた。
「何か見える？」
「いいえ」
隣に並んだときにふと触れた腕があまりに冷えきっているので、フレッドはジャケットを脱いでAの肩にかけた。
「私にするべきことじゃないわ」
「他の誰にすればいいっていうんだ？」
「もっと……世界でいちばん大切で、何を差し置いても守りたいような子に。」
「君以外にいる？」
Aは小さく笑って目を逸らし、「相変わらず言葉が上手ね」と囁いた。
その言葉の響きのあまりの哀しさに、気づいた時にはフレッドは思わずつよくAを抱きしめていた。
こんなに細くて、こんなに小さい体だったか とフレッドはよりいっそう、叫び出したいほどの哀しみに襲われた。
「きみが、他の人と話してるだけで、頭がおかしくなるくらいに嫉妬して……自分が自分じゃないみたいに残酷な気持ちになった、きみを傷つけた……」
どんな言葉も、今までの自分の弱さや酷さを表すには足りないくらい軽く優しい言葉でしかなく、フレッドはもどかしい気持ちになった。
Aの細い腕が弱々しく抱き締め返してくれたことだけが救いだった。
「私、あなたが他の子を選んで、少しほっとしたのよ」
フレッドは息を飲み、Aの顔を久しぶりにまともに見た。
柔らかく目尻を垂らして微笑み、Aはフレッドの髪を撫でた。
「ずっと怖かったの、私を＿＿こんな太陽みたいな人が愛してくれるなんて、嘘みたいだと思ってたから……いつ照らされなくなるのか、ずっと不安だった。」
「だからあなたがアンジェリーナと並んで歩いてるのを見て、安心したの。やっぱり色々薄暗いものがある私より、よくお似合いだった」とAはフレッドの目から零れ落ちた涙を指先で拭いながら囁く。
フレッドは何度も首を横に振り、もう一度Aを抱き締めた。
「ずっと、心臓がないみたいだった」
目が会った瞬間、鼓動が元ある場所、あるべき場所に返ってきたような心地が確かにした。
この誰より繊細で強かな女の子でしか自分は到底満たされないのだと思い知らされたのだ。
「何でもするから、俺の元に帰ってきて」なんて、離れたのは自分からだというのに、フレッドは優しい彼女にみっともなく縋りついた。
案の定、「離れたつもりなんてないわ」と呆れたように返ってくる。
「何もしなくていいから、死ぬまで＿＿死んでも、ずっとそばにいて」
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ちとせ(プロフ) - Rrrrさん» コメントありがとうございます。はい、もちろん……(；；)ただ(私の解釈での)ハッピーエンドにはなりますのでご安心ください(？) (3月9日 9時) (
レス) id: 12c0d6c6fa (このIDを非表示/違反報告)
Rrrr(プロフ) - 最近読み始めた者なのですが救済等は無いのであれば、フレッドもちゃんと…? (3月9日 6時) (レス) id: eeb020f16b (このIDを非表示/違反報告)
赤田 - すごい、悪役令嬢的なことになっても、吹っ飛ばしてる、すごい。 (2023年3月8日 19時) (レス) @page45 id: 3d88a3b324 (このIDを非表示/違反報告)
ちとせ(プロフ) - 村民さん» ありがとうございます♡♡読み返していただけたなんて、とっても嬉しいです(><)フレッドくんのかっこよさの10000分の1も表せていない気がするのですが、これからもお付き合いいただけると嬉しいです( ¨̮ ) (2023年2月20日 12時) (レス) @page48 id: eeb6bd2221 (このIDを非表示/違反報告)
村民(プロフ) - 初めまして！好みのお話で最近フレッドにハマった事もあり1日で何度か読み返させてもらいました！続きも楽しみにしてます٩(๑❛ᴗ❛๑)۶ (2023年2月20日 5時) (レス) @page47 id: 82c45efafd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちとせ | 作成日時：2023年2月13日 13時
