ep.61 ページ13
.
テントに戻ってきた三人は、フェイスペイントを終えた双子の顔を見て大笑いした。
ジョージは頬に白と緑で小さくペイントされているだけなのに対して、フレッドは顔全部に緑のクローバーが描かれ、余白は全て白で塗りつぶされている。
「すごく似合ってるわよ、ずっとそうしてたら？」
「やめろよ、男前が見えなくなっちまう」
Aと同じマフラーと帽子を着せてやると、完全に浮かれているお祭り男が出来上がった。
顔を見る度にAが笑いだしそうにするのでよっぽど一度落としてやろうかと思ったが、Aが「完璧よ」と言って頬を撫でるので、フレッドは拗ねた顔を作ってそのまま競技場に向かった。
「すっげえパパ、てっぺんの席だ！」
「これって落ちたら魔法使いでも死ぬかしら？」
「ちょっと、怖いこと言わないで！」
若干高所恐怖症のきらいがあるAは顔を引き攣らせたが、各チームのマスコットキャラクターがフィールドに入場すると、目をきらきらと輝かせた。
「あれは何？」
「レプラコーンよ、アイルランドのマスコットね＿＿残念だけど、その金貨、時間が経つと消えるわよ」
大喜びで帽子いっぱいにレプラコーンが降らした金貨を溜め込んだフレッドとジョージは、ハーマイオニーの言葉に途端に不貞腐れた顔になって帽子をひっくり返した。
すると次に、レプラコーンが踊っている前を遮るように、シルバーブロンドの髪を垂らした美女たちが現れた。
「あれは？」
「あなたって本当に教科書を読まないのね！あれはヴィーラよ、男たちを虜にする魔法生物で＿＿ほら見て！」
ハーマイオニーが笑いながら指さしたのはフレッドとジョージとジニーの三人を挟んで隣にいるハリーとロンで、魅入られたように柵を乗り越えようと足をかけている。
「見てるこっちが失神しそう！危ないわよ！」
「ハッ……僕は何を……？」
絵に書いたように魅了されていた二人＿主にロン＿をジニーは冷たい目で見つめ、ヴィーラを見て首を傾げた。
「綺麗なのは認めるけど、そんなに？」
「ジニー、君鏡見たことある？」
「失礼ね、ロン！ジニーの方が何百倍も綺麗よ！」
Aが拳を握って憤慨すると、「ロン、ジニーには過激なファンがいるからあまり刺激するな」とジョージが横からにやりと笑った。
「さらに言うと君の方が可愛いぜ、A」
「どうもありがとう」
軽口を叩きあっていたAたちも、選手たちが箒に乗って入場し始めると息を飲んでフィールドを覗き込んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 100人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちとせ(プロフ) - Rrrrさん» コメントありがとうございます。はい、もちろん……(；；)ただ(私の解釈での)ハッピーエンドにはなりますのでご安心ください(？) (3月9日 9時) (
レス) id: 12c0d6c6fa (このIDを非表示/違反報告)
Rrrr(プロフ) - 最近読み始めた者なのですが救済等は無いのであれば、フレッドもちゃんと…? (3月9日 6時) (レス) id: eeb020f16b (このIDを非表示/違反報告)
赤田 - すごい、悪役令嬢的なことになっても、吹っ飛ばしてる、すごい。 (2023年3月8日 19時) (レス) @page45 id: 3d88a3b324 (このIDを非表示/違反報告)
ちとせ(プロフ) - 村民さん» ありがとうございます♡♡読み返していただけたなんて、とっても嬉しいです(><)フレッドくんのかっこよさの10000分の1も表せていない気がするのですが、これからもお付き合いいただけると嬉しいです( ¨̮ ) (2023年2月20日 12時) (レス) @page48 id: eeb6bd2221 (このIDを非表示/違反報告)
村民(プロフ) - 初めまして！好みのお話で最近フレッドにハマった事もあり1日で何度か読み返させてもらいました！続きも楽しみにしてます٩(๑❛ᴗ❛๑)۶ (2023年2月20日 5時) (レス) @page47 id: 82c45efafd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちとせ | 作成日時：2023年2月13日 13時
