殺してやる ページ47
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「…良かった」
隣の部屋から出てきたチシヤと目を合わせ、思わず座り込む。
…もしかしたら。
そんな悪い予感が止められなくて、転がるようにして出た独房の扉を安堵と共に締める。
…チシヤじゃなかった、あの爆発音。
皆が興味なさげに次々と独房から出て、互いのペアを確認するとどこかへ去っていく。
「…え、」
嫌な予感が再熱して、私はかすれた声を出した。
無表情のチシヤがポケットに手を突っ込み、ある部屋の前まで歩き立ち止まる。
小さい通気口のような穴から目を細めて中を確認した後、ふぅ、とため息をついて言葉を吐いた。
「優しすぎだよ…イッペーくん。」
待って、どういう事。
チシヤの言葉が信じられなくてふるふると首を横に振る。
駄目、違うでしょ。
なんでそんな事を言うの？
ひょっこりと、扉を開けて彼が出てくるような気がして震える膝を無視して立ち上がる。
「…ねえ」
「見ない方がいいよ、A」
チシヤの声を無視して通気口に視線を向ける。
……あぁ。
「なんで…。」
嘘は言わなかった。
ありのままのマークを、チシヤは言っていた。
彼が信じなかった訳じゃない。
……降りたんだ、このゲームから。
「…ッ」
酷い、こんなのあんまりだ。
人が消えた独房を睨みつけ、深呼吸をする。
やり場のない悲しみが胸を満たし、その後に襲ってきたのはどうしようも無い怒りだ。
……ジャックへの。
「待ってて、チシヤ」
殺してやる。
このターンで、確実に。
きっとジャックは彼で合ってる筈。
チシヤが何か言う声も気に止めず、私は歩き出した。
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作者名：みりん | 作成日時：2023年3月13日 23時
