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死神だなんて ページ4




足元を弾が通過する。
未だに仲間の誰も撃たれていないのが奇跡だと言えるぐらい、この短時間でたくさんの人が死んでゆく。
現在進行形で。


「散り散りになって逃げろ!」


アリスの声に、追っていた背中を視線から外し近くのオブジェの傍に隠れれば、見知った人は誰もいなくなった。
…はぐれた。
不安に襲われてバクバクとうるさい心臓を服越しに握りしめる。
スニーカーの靴紐を結び直し二重に巻き付けて取れないように補強し、私は再度駆け出した。

聞こえる連射音や近くで死んでいく人たち。

何も考えるな。
今は自分のことだけを。


先程まで目視出来ていたクイナとチシヤが居なくなり、私は不安に駆られる。
生きてるよね、チシヤ。
大丈夫だよね…?


【お前はいつも死神だな】


うるさい、やめて。
ボーシヤはそんな事言わない。

彼が死んだ時からいつの間にか現れた、私の中だけのボーシヤ。
彼の姿は見えないのに、声だけが聞こえる。
幻聴だと分かっているのに、蔑まれるような声音に恐怖を隠せない。

…そんな事、言わないよ。

死神だなんて、言わない。


優しく微笑むチシヤが血に濡れるビジョンが思い浮かび、慌てて頭を振って消した。

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作者名:みりん | 作成日時:2023年3月13日 23時

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