バンダ スナト ページ23
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your side
「無視しときゃ良かったんだよ。」
「だって、あのままだと不審者じゃん…。」
スタスタ歩きながら文句を言うのはチシヤだ。
私達の後ろを申し訳なさそうに着いてくるイッペーくん。
先程私がフードを取ったのが気に食わなかったのか、飄々とした態度で責めてくる。
「不審者でいいでしょ。」
「よくないよ、アナウンスも言ってたでしょ？これはいかに相手を信頼できるかのゲームだ、って」
「Aには俺がいるじゃん。」
そうだけど。
言葉に詰まる。
こんな事をサラッと言われて、照れるなと言う方がおかしい。
何とか顔に出さないように力を込めていると、こちらをチラリと見たチシヤが小馬鹿にした顔で笑った。
「何突っ立ってんの？始めるよォ？」
手招きしながら間延びする口調でそう言ったのは、アカマキウルミという女の子だ。
仲間にならない？
お菓子を咥えながらそう言ったウルミは、可愛らしい見た目とは裏腹に私のことをジロジロ見つめ、大したことないわねとせせら笑うように鼻を鳴らされた。
ふと、遠くから視線を感じて振り向いた。
独房の奥に見える階段にもたれ掛かり立っている男が見える。
足を止めた私を不思議そうな顔でイッペーくんが追い越した。
「…バンダ スナト…。」
先程のモニターで記憶した顔に思わず呟けば、彼が微笑んだ。
チシヤとは違った笑い方に薄気味悪くなる。
「…A？」
ハッとしてチシヤを見る。
どうしたの？と問いかける彼にもう一度視線を戻せば、そこにはもうバンダスナトは居なかった。
「…なんでもない、今行く」
胸がざわつく。
何となくだけど。彼は…、バンダは危険だ。
薄く笑うその顔を思い出して、思わず身震いをした。
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作者名：みりん | 作成日時：2023年3月13日 23時
