The Crow's Dream 4 (ページ20)

今日:24 hit、昨日:85 hit、合計:47,685 hit

るぅるせつめいページ20

・

ヴン……。
奇妙な音を立てて中央のスクリーンが点滅する。
ゲーム説明だろうか。
壁にもたれかかったチシヤさんは、ため息をつきながらそっと黒のパーカーのAさんを見つめる。
この2人はどういう関係なんだろう。
外で出会ってから、つい流れで一緒に来てしまったけれど。
静かにただ立っているAさんは、スクリーンに興味を示さずただ地面を見つめている。

「難易度ハートのジャック」

プレイヤーが一斉にスクリーンを向く。
だからこそ、じっと動かずにいるAさんの奇妙さが目立った。

「ゲームどくぼう」

どくぼう…。嫌な響きだなぁ…。

「ルール自分の首輪の後ろに現れたマークを当てましょう。ただし自分ではマークを見ることができません。」

自身の首に付けられたモノを触る。

「制限時間は1時間。終了5分前に各自独房の中に入って自分のマークを答えてください」

自動音声に呼応するように独房の明かりが次々と点灯する。
地獄の入口に見えて寒気がし、ブルりと震えた。

「正しいマークが答えられなければゲームオーバー。制限時間が0になった時点で首輪が爆発し死亡します。そして首輪のマークはターンごとに変化します。」

なるほど。
なんだか希望が見えてきた、やっぱりハートのジャックに入ってよかった。

「でもこれ、要するに誰かに教えてもらえばいいってことでしょ？簡単ですね」

チシヤさんに話しかける。
こちらをちらりとも見ない彼がふ、と微笑んで言う。

「どうかなぁ。まだクリア条件聞いてないからね」

「このどくぼうはいかに相手を信頼できるかのゲームです。そして皆さんの中には対戦相手であるハートのジャックが既に潜んでいます。」

ほら来た。
チシヤさんがそう呟けば、皆が一斉にお互いを観察しだした。
ハートのジャックが潜んでいる…？
途端にチシヤさんもAさんも怖くなって、思わず体をすくませた。