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もう少しだけ ページ12
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「ごめんね、クイナやアリスくん達とは離れちゃって…」
「いい」
自分の声を遮り、AがTシャツの裾を掴んだ。
右手で顔を覆いながら再度「いい」と繰り返す。
「チシヤが居れば、いい」
あぁ、全くこの子は本当に。
思わずと言っていいぐらい無意識に抱きしめながら、彼女にとって自分はどんな存在なのか考える。
ボーシヤの様に、ただ頼れるだけの存在だと思わないで欲しい。
もっと、溺れるぐらいに執着させて、俺なしでは生きられないようにしたい。
呼吸ですら、自分がいないとままならないくらい。
「…チシヤ?」
危ない思考に飛びかけた自分を引き戻すのはAの呼びかける声。
自分をおかしくさせるのも、それを戻すのも、Aなのだと思うとたまらない。
「とりあえず、どこかに避難しようか」
チラリと上空の飛行船を見つめると、胸の中にまた飛び込んでくる柔らかい彼女。
「もう少しだけ。」
どれだけ心細かったのか、そう呟きながら縋り付く彼女を、そっと柔く抱き締め返した。
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作者名:みりん | 作成日時:2023年3月13日 23時