餞別 ページ31
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「お母さん」
久しぶりに口にした。
タバコを吸っている彼女は、「これで終わりでしょうね」と煙と同時に言葉を吐く。
「…イライラするのよ、あんた見てると」
「うん。ごめんね。私も、ずっとお母さんが苦手だった。」
ハン、と笑う彼女。
いつから狂ってしまったのだろう。
「でも、お母さんに拾ってもらえて、育てられた時間に凄く感謝してる」
言えなかったこと、思えなかったこと。
本当に死ぬかもしれない今だからこそ。
「あんた死ぬかもしれないのよ。そんな事でいいの？」
フー、と最後のひと吸いを噛み締めると、床に落としてピンヒールで残りカスを踏みつけた。
「…うん。最期になるかもしれないから言いたいこと言おうって思ったら、これだった。」
本当に言いたいことを漁って、奥まで掘れば、出てきたのはただの感謝。
感謝だけじゃ済まない。
嫌いなところも沢山ある、好きなところなんかもしかしたらひとつも無い。
…だけど、この人が私をここまで育てた事には変わりないから。
「勘違いしないで。私は感情で感謝してるんじゃない。事実に感謝してるの。」
愛して貰えなかった。
それだけは紛うことなき事実だ。
…ねぇ、お母さん。
貴方がタバコを吸う時は、何かを決心した時。
決別する時だよね。
妹が…カスミが死んだ時も、お母さんは味わうようにタバコを吸っていた。
きっと私を監視室に閉じ込めた時も、何か思ってくれたんでしょ。
だから、タバコを吸ったんだよね。
目が覚めた後に残るタバコの香りは、嫌いなものじゃなかった。だって、お母さんが唯一言葉にしない感情だから。
眉を顰めた母親は、「生意気言うなよ」と最後まで私に辛辣に投げかけた。
ブザーが鳴る。
もう時間だ。
相変わらず読めない顔のチシヤが入っていくのを見て、私も意を決した時だった。
「…私はあんたのことなんか1ミリも愛してない。」
分かりきったことをいきなり言われる。
全員が独房に入った、2人きりの空間は何だか本当に最期みたいで。
「あんたも私の事なんかひとつも信用してないんでしょう」
ふ、と微笑む。
なんだか憑き物が落ちた顔をした母親は一瞬で皺を寄せて、最期に吐き捨てた。
「スペード。あんたのマークはスペードよ」
私を残して独房に入る。
正解のマークを言うんじゃなくて、「スペードが不正解であることを教える」不器用な彼女なりの餞別に、母親らしくて少しだけ笑った。
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みりん(プロフ) - がんもえさん» クイナとアンのペア、すごく好きです(；；) ただ、スペードのキングのゲーム後にクイナに冷たい態度を取っているので…仲直り出来るのか( ›_‹ ) (2023年2月7日 0時) (
レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - おむらいすさん» お母さんと交代してもらいました！暫くチシヤのターンですのでお付き合い下さい( ◜ᴗ¯)🤝(¯ᴗ◝ ) (2023年2月7日 0時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - らむねさん» 実は、参加しないのです！やっぱりこのゲームは残酷なので、2人とも生き残るのは違うかなと¯֊¯⋆꙳ (2023年2月7日 0時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
がんもえ(プロフ) - 別のゲーム会場で誰かと会うのかな！クイナとかアンに会って欲しい……… (2023年2月6日 23時) (レス) @page41 id: 828bc06f55 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - dさん» そうなんですよ…( -᷅ ̫̈-᷄ )𐑲𐑲𐑲 チシヤと鉢合わせてしまうのか、ご期待ください✨️ (2023年2月6日 23時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みりん | 作成日時：2023年2月1日 23時
