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その言葉に呆気に取られた後、思わず叫ぶ。
「知らなかったの!?」
私の叫びにムッとした様に口を尖らせた若武選手。
そして何かを言いかけて口を開いたものの、はあっと溜息を零して、黙って顎をクイッと示した。
これは言えっと言うことか。
「...立川 彩奈です。字は、こう書きます。」
そう言いながら、ズボンのポケットに仕舞っていたメモ帳に書いて見せる。
それを見つめ、目を細めた若武選手に一瞬ズキっと頭が痛んだ。
ん...?何だろ。
「立川彩奈、ね...。よっし、分かった。
じゃあ、彩奈ちゃん。
...何か違和感あんな。
彩奈って呼び捨てにしていい?」
くるりと大きな瞳を動かし、そう尋ねられた私はコクっと頷いた。
それに満足そうに笑うと、
「んじゃ、改めまして。流石にお前は知ってると思うけど、俺は若武和臣。
若武選手って呼んでもいいけど、別に若武とか若武さんとかでもいいぜ。
あと、もう敬語はなしな。何かその顔でそう言われるとすっげぇやりにくいっつうか、モヤモヤすっから。」
何故か偉そうな態度でそう言われる。
分かった。
けど...
その顔でそう言われるとってどーいう意味よ。
何となくムスッとしてつつも若武選手...若武さんでいいか。
さすがに年上の人に 若武 って呼び捨てなのもどうかと思うからね。
その若武さんの何だか寂しそうな表情に言葉を呑み込んだんだ。
さっきから、時々若武さんは切なそうな、苦しげな表情を浮かべるの。
若武さんにそんな顔をさせる原因って一体何...?
「...奈。おーい、彩奈?お前、聞いてんのか?」
はっと気づけば、若武さんが私の前で手を振り、顔を除き込んでいた。
って、だから!
近いってばっ!!
慌てて若武さんの顔をぐいっと押しのけた。
何すんだよ と口を尖らせる若武さんにふんっとそっぽを向きながらも首を傾げたの。
今の何か懐かしかったな。
そうふと思ったから。
「で、何?」
ちらっと若武さんに視線を戻してそう尋ねると、若武さんはぐっと身を乗り出した。
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小四 - 感動しちゃいました。 (2022年4月30日 8時) (レス) @page8 id: a6b1297b7c (このIDを非表示/違反報告)
ゆいゆい - ゆうひ「俺お前のこと好きだよ」 忍「 ちゃんと砂原の声聞こえたんだよかった」 翼「 俺としては必ずキメるつもりなんだ」 砂原「 俺、声聞きたいって言ったろ。聞かせてよ。ひと言でいいから。」 ゆうひ忍翼の3人は恋する図書館砂原は コンビニ仮面に乗っています (2021年4月21日 21時) (レス) id: be27a6782a (このIDを非表示/違反報告)
morosu武(プロフ) - 「俺、才能なんてないよ。いろいろできるって思われてるみたいだけど、それって全部、努カの結果だから。」ハ一ト虫の翼の言葉です!がんぱってください! (2020年10月18日 21時) (レス) id: a42120e652 (このIDを非表示/違反報告)
セダム(プロフ) - morosu武さん» 似てますか!?ありがとうございます!!いや、一応意識してアーヤちゃんに似せるように書いていたんですけど、書いているうちに あれ?なんかアーヤに似てない、かも…… と不安になっていたので、嬉しいです*何とか早く仕上げていきたいです。頑張ります! (2020年10月17日 20時) (レス) id: 188dd23746 (このIDを非表示/違反報告)
セダム(プロフ) - リリーさん» やーっと小塚くんまできました〜!いや、ほんとに進みが遅い。愕然としております。翼と忍、早く登場させたいなぁ……(遠い目)もう段々寒くなってきましたので、リリーさんも体調等お気をつけ下さい。毎回コメントありがとうございます* (2020年10月17日 20時) (レス) id: 188dd23746 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セダム | 作成日時:2019年7月31日 23時