6 ページ7
突然止まっていた空間が動いた。
バタン、と大きな音をして扉が開いたのだ。
「どうしたんだい!? また現れたのかい!?」
そこに現れたのは、ハエたたきとエプロンをまいた綺麗なお姉さんだった。
「えーと。あのー、はい、えと、なにも現れてないです、ね。」
「あぁそれなら良かった。」
その人の目はとても優しい目をしている。
……………………
………………………いや誰?
勢いに負けて返答してしまったが…。
まじで誰??こんな人知り合いにいないよ!人攫い?このお姉さんが?赤い髪で、なんかボンキュッボンだし、でもなんかハエたたき持ってるし、なんかわかんないし、綺麗な長い髪ですね。そしてボンキュッボンだし…と心の中で自問自答する。
口を金魚のようにパクパクしている自分をよそに赤髪お姉さんは、もふ子に話しかける。
「おい、ノルン。お前何も言ってないのか。」
「きゅい?」
「おい、とぼけるな。」
「えー。だってこいつ途中で寝ちゃうし、めんど、くはなかったんですよ。
いやその、俺もボロボロだったし、」
面倒って言おうとしたなこいつ。
「はぁ、まぁそれはいいとして、」
「ん?ちょっ待って、もふ子がしゃっべった。」
あ、なんか人って1周回るとあまり驚かなくなるんだね。ははは、わたし放置されてるし。
「お前、自分の素性も言わず、連れてきたのか。しかも、今回は弟のはずだろ?」
「まぁ、それは色々あったんだって、それに俺がいきなり人語を話しだしたら、あっちの人間は驚いて話もきいてくれないだろ?」
「まぁ、それはそうだが…。」
「あ、あの…。」
「あぁ、すまない。 名乗り忘れていたな。私の名前はオリヴィア。それでこのちっちゃくてうるさいチビがノルン。」
「は、はい。」
「俺は、神獣だぞ!チビとはなんだチビとはっ!本気を出せばもっと大きいんだぞっ!ノルン様と呼べっ。このクソばばぁ!」
オリヴィアさんの動きが止まった。
「ノルン?」
にっこりと笑ってる。口を綺麗な弧を描いて笑ってる。
けど、目が笑ってない。
23人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Chiroru | 作成日時:2019年1月3日 15時