【d！】悪魔に取り憑かれた系幼女lll (ページ32)

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少女と教授とわんわんページ32

エミ兄様は1度本を机に置いてから直ぐに走って近くの本棚へと行った。そこから何冊かの本を取り出して再び私たちの元へと帰ってきた。エミ兄様が抱えていたのは武器の本だった。

ni「ん、それ新作か。すまん、態々持ってきてくれて。」

em「いえいえ。そろそろ兄さんが来るとは思ってましたから予め近い所に置いておいたんですよ。」

ni「そうか、ほんまにすまんな…。あ、これ最新の機関銃やん。仕入れよ。」

兄様は椅子に座ってメモを取りながら本を読んでいた。その様子を見たエミ兄様が私の左隣に座った。持ってきた本を何冊か私の前に広げて色々と話をしてくれた。

em「これは最近話題になったミステリー小説、これは新しい戦争全集、これは珍しい国の数々をまとめたもので─────」

『────ねぇ、エミ兄様』

em「？はい、なんでしょう？」

『この本、読んでくれませんか？』

em「神話ですか。いいですよ。」

私がさした本はたまたま目に映った本なのだけど昔昔に書かれた神話で女神様が主人公らしい。私はエミ兄様がペラリ、と捲った本のページを見つめた。

あるところに美しく、優しく、愛を持った女神がいた。その女神の周りには10数人の使いがおり女神は全員を平等に愛していた。

ある日女神の前にとても優しく、凛々しい男の神が現れた。その神は己が持つ独占欲が、束縛欲が彼女を見た途端に溢れ出てしまった。その神は女神を騙し自分だけを見るように仕組んだ。
でも、それを彼女の10数人の使いが許すことは無かった

10数人の使いは自分自身が隠していた独占欲やら束縛欲やら依存心やらなんやらを隠さずに彼女にぶつけて男に負けぬように、と張り合った。

だがそれ故だろうか。─────彼女は壊れた

最初はあった恐怖も拒絶も苦しさも、全部全部忘れて壊れてしまった。それを見た1人の使いは自分のしていた事から目を覚まし彼女を逃がした。最後に1言

「私は貴女を、ずっとずっと…愛しています」

そう、言った。彼女は逃げた後にただひたすらに涙を流した。─────彼女は今、初めて愛を知ったのだ

『…女神は、可哀想です』

em「…どうしてですか？」

彼女は可哀想だと、そう思った。自分が信じた人には裏切られ自分が愛していた人達にその愛は届かず、信じて貰えなかった。それは彼女が愛されていた故の間違った愛。

『…最後に本当の愛に触れられて彼女はどうだったのでしょうか』

em「…幸せだったんでしょうね」

エミ兄様はそう言って微笑んだ。