destiny【RMPG】

行かないで ページ44

樹side



早く起きちゃったな…と時計を見れば8時15分


仕事で疲れている重たい体を起こし、水を飲みに部屋から出る



最近変わったこと



朝起きて必ず思うのは、彼女ののことで…



生活してから、やっぱり彼女に対する思いは
確実に変化している



だから、好きな女の子のこと
1番に見たいなって、思ってしまう



まだ寝てるかな、起きてるかな

そんな思いでAの部屋まで足を運ぶ


相変わらず、ゴチャゴチャっと椅子や壺、そしてドライフラワーが無造作に置かれた廊下

その奥にあるのがAの部屋


扉に手を掛けようとしたら



『ハァ…ッ……ハッ…』


薄っすらと聞こえるAの荒い息遣い


樹「A…？！」



勢い良く扉を開ければ
涙を流して肩で大きく息をし、苦しそうなA



過呼吸……？



樹「A！A！！！」


『ハァッ…！ハァ……ッ！
や、だ…っ！行かないで……っ』


樹「A、俺の声聞こえる？？
大丈夫、ここにいるよ」

『ハァ、ハァッ
い……、つき…？』

樹「うん、俺だよ
大丈夫、ゆっくり」



Aの呼吸が落ち着くまで、声をかけて落ち着かせる


背中を撫でれば苦しそうな体

どうした…？？
どうしてこうなった…？？



ぎゅっと距離を近づけ、「大丈夫、大丈夫」と安心させれば、徐々に落ち着いてくる呼吸


『やだ…っ、どこにも、行かないで……っ』


泣きながらそう言うA


夢でも、見たんだろう
俺らがどこかへ行く夢？

それとも、過去の夢？


樹「行かないよ、ここにいるよ
ずっとAのそばにいるよ」


そう言うと、ギュッと抱きついてくるA


いつもと同じなのに、いつもより小さく見えた体

しばらくすると、スゥと眠ってしまったA



再びベッドへ移動し、Aを横に寝かせる



俺達のことを信じられても、やっぱり、心の中にはまだ穴がある。

その穴を埋めるのが俺らの仕事



Aの心の中の溝は、どこまで深いか俺らにはわからない。


でも、大切な子だから


大好きだから…



少しでも、近くにいたかった

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