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『だってさぁ、一人暮らし寂しくない?』
「まだそんなこと言ってんの?もう1年以上経ってんだしそろそろ慣れなよ」
『無理よ、寂しいもんは寂しいのー』
「どんだけ寂しがり屋なの」
『凪だってチョキが居なかったら寂しいクセに。ねぇ、チョキ〜?』
ゲームが一段落したのかスマホをポイっと投げ捨て、腕を伸ばしてチョキに触れる彼女。
「…それに、Aは女の子の友達もたくさん居るでしょーが」
『うん〜、女友達と遊ぶのは楽しいよ?けどお泊まりまですると気疲れしちゃうっていうか…』
「…ふーん」
『けど凪ならお泊まりしても全然気疲れしないし、ずっと楽しいし』
「…それは俺に気を使ってないからでしょ」
『ふふ、いいよねぇ。こういう関係』
「そう?」
いつも明るくて人当たりの良い彼女には俺以外にも友達がたくさん居て、いわゆる人気者で。
それでいて男からの人気もあるから、彼女と一緒に過ごしていると多くの視線がこちらに向けられる。
けれど彼女はそんなのお構いなしで、いつも俺の名前を呼んで、いつも俺の隣に居る。
それが嬉しくもあり、悔しくもある。
『えー、何かご不満でも?』
「…まぁ、あるっちゃあるよ」
『え、何!?』
「教えてあげないけどね」
『何それ、怖いじゃん…』
そうやって俺を異性として全く意識してくれないところとか、正直不満しかない。
けれどそんなことを言ってしまえば、この心地いい関係はきっと終わってしまうから言えはしない。
彼女がこうして頻繁に泊まりに来て、その度に同じベッドで二人でくっついて眠って。
それでも彼女の言う"世界一信頼できる男友達"を演じ切って、彼女に手を出さない俺は世界一偉い男だと思う。
『…あ、けどもし凪に好きな子とか彼女が出来たりしたら遠慮なく言ってね?』
「…は?」
『だって流石にダメでしょ、友達だからってお泊まりとかは』
毎度ここまで清々しいと、人間は傷付くを通り越して腹が立つだけになるらしい。
「…好きな子ならいるけど」
『え!?じゃあ既にダメじゃない!?』
「いいよ別に。男として全く意識してもらえてないし」
『えー、そうなの?凪かわいそう』
哀れむような目をこちらに向けくる彼女にお前のことだよ、と言ってやりたい。
けれど言えないのだから今日ももどかしい。
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chiito(プロフ) - ねう。さん» もしいい感じの話が思い浮かんで書けたら、またお付き合いい頂けると嬉しいです♡本当にありがとうございました!! (2023年7月30日 16時) (レス) id: db14ec3e34 (このIDを非表示/違反報告)
chiito(プロフ) - ねう。さん» ねう。さん、勿体ないくらいのとっても嬉しいコメントありがとうございます!!凪にお前って呼ばれたい人生でした。。笑 そうなんです、玲王のお話も書けたらなぁと思いながら書いてたんです! (2023年7月30日 16時) (レス) id: db14ec3e34 (このIDを非表示/違反報告)
ねう。(プロフ) - 一気読みさせていただきました。とても面白かったです…終始涙が止まらず、胸が苦しくて笑 冒頭から終わり方まですごく綺麗で、凄く素敵な作品だなと思いました。ごく稀にお前って呼ぶスタイルすごく刺さりました。アナザーストーリー的なで玲王の恋路も気になります笑 (2023年7月29日 10時) (レス) @page46 id: dee5bda7f0 (このIDを非表示/違反報告)
chiito(プロフ) - まぴさん» まぴさん、嬉しいコメントありがとうございます!!更新がんばりますので、これからもよろしくお願いします〜(^^) (2023年7月17日 12時) (レス) id: db14ec3e34 (このIDを非表示/違反報告)
まぴ - いつも楽しく小説見させてもらってます✨凪くん大好きなので嬉しいです!これからも応援してます! (2023年7月16日 23時) (レス) id: 860b8d9e21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:chiito | 作成日時:2023年7月16日 10時