身を焦がして粉にして ページ6
.
『なーぎっ、今日バイトは?』
「ないよ」
『明日は?』
「夜だけ」
『じゃあ久しぶりに飲みに行こ!』
「…久しぶりだっけ?」
『そのあと凪ん家遊びに行ってもいい?』
「…そのまま泊まる気じゃん」
『あは、バレた?』
こういう時、友達以上恋人未満ってこういう関係を言うのかな、なんて思う。
その日の講義が終わって、飲みに行くには少し時間が早かったから一緒に俺の家に帰宅して。
当たり前のように俺のベッドに寝転んでゲームをする彼女に、思わず溜め息を吐いた。
「あのさ、もうちょっと危機感持てば?」
『んー?』
「俺も一応、男なんだけど」
『うん?知ってるよ』
「…どうだか」
『凪の顔は可愛いと思うよ?けど流石に190超えの白ゴリラは女の子には見えない』
「今ここで潰してあげようか?」
『ぎゃあっ!?重い重い!!』
今日も減らず口を叩き続ける彼女の上にそのままダイブすれば、手足をバタバタさせていて。
相変わらず小さくて細くて弱い生き物だなぁ、なんて思う。
「ほら、こんなことされても勝てないでしょ?」
『待って、死ぬ!!』
「やめてよ、事故物件になっちゃう」
『そう、思うなら、今すぐ、どいて!!』
「んえー、めんどくさい」
『本当にぃ…、死ぬぅ…!!』
「はぁ、しょうがないなぁ」
そのままゴロンと彼女の隣に転がり込めば、息を切らした彼女と目が合った。
『この白ゴリラめ…』
「もっかいしとく?」
『ごめんなさいでした』
「分かればいいのよ」
なんて言いながら彼女を抱き寄せて、抱き枕にしながら俺もゲームのアプリを開く。
その体制に慣れている彼女もまた俺の腕の中でゲームを再開している。
『…凪に勝てるなんて、最初から思ってないよ?』
「へぇ」
『けど凪は世界一信頼できる男友達だから、こうして安心してお泊まり会も出来るのです』
「そんな不名誉な称号、マジで要らないんだけど」
『何でだよぅ、喜べよぅ』
「マジで要らないんだけど」
『酷い』
酷いのはどっちだよ、なんて本音は心の中に留めておく。
ここまで意識されないなんて悔しくて、彼女を抱きしめる腕に力が入るけれど。
それでも俺の気持ちが鈍感すぎる彼女に伝わることはない。
.

214人がお気に入り

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
chiito(プロフ) - ねう。さん» もしいい感じの話が思い浮かんで書けたら、またお付き合いい頂けると嬉しいです♡本当にありがとうございました!! (2023年7月30日 16時) (レス) id: db14ec3e34 (このIDを非表示/違反報告)
chiito(プロフ) - ねう。さん» ねう。さん、勿体ないくらいのとっても嬉しいコメントありがとうございます!!凪にお前って呼ばれたい人生でした。。笑 そうなんです、玲王のお話も書けたらなぁと思いながら書いてたんです! (2023年7月30日 16時) (レス) id: db14ec3e34 (このIDを非表示/違反報告)
ねう。(プロフ) - 一気読みさせていただきました。とても面白かったです…終始涙が止まらず、胸が苦しくて笑 冒頭から終わり方まですごく綺麗で、凄く素敵な作品だなと思いました。ごく稀にお前って呼ぶスタイルすごく刺さりました。アナザーストーリー的なで玲王の恋路も気になります笑 (2023年7月29日 10時) (レス) @page46 id: dee5bda7f0 (このIDを非表示/違反報告)
chiito(プロフ) - まぴさん» まぴさん、嬉しいコメントありがとうございます!!更新がんばりますので、これからもよろしくお願いします〜(^^) (2023年7月17日 12時) (レス) id: db14ec3e34 (このIDを非表示/違反報告)
まぴ - いつも楽しく小説見させてもらってます✨凪くん大好きなので嬉しいです!これからも応援してます! (2023年7月16日 23時) (レス) id: 860b8d9e21 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:chiito | 作成日時:2023年7月16日 10時