他愛のないあれこれ ページ33
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『昨日の私、寝るのめっちゃ早くなかった!?』
「…早かったねぇ」
『やっぱり?凪におやすみって言ってからの記憶ないもん!いつの間にかベッドに移動してたし』
「…あらそう」
『のび太並みの寝つきの良さだったわ〜』
なんて朝から一人で楽しそうに笑う彼女に記憶ないんかい、と心の中でツッコミを入れる。
『ねぇ凪、玲王くんにもお礼のお土産買って行こう!』
「そーだね」
『あ、これ可愛い!ちょっと凪に似ていない?』
「んえ〜、そう?」
『うん、このやる気なさそうな顔とか』
「サラッと悪口言うじゃん」
『えー?可愛いと思うんだけど…』
お土産屋さんにあったご当地ゆるキャラのぬいぐるみを片手に嬉しそうに笑って。
背伸びして反対の手を俺に向かって伸ばすと頬をむに、と摘む彼女。
「…好きな子にはカッコいいって思われたいんですけどー」
『…凪でもそんな風に思うの?』
「お前さぁ、本当俺のこと何だと思ってんの」
『見た目は白ゴリラ、中身はナマケモノ。その名も凪誠士郎?』
「……」
『…冗談じゃん、怒んなよぅ』
「今の傷付いたー、泣きそー」
『その繊細さは中身もゴリラっぽい』
「本当に泣いていい?」
『やだやだ、泣かないで凪〜』
なんて言いながらいつものように腕を絡めて、こちらを見上げる。
『ゴリラって穏やかで優しい性格なんだよ』
「まだゴリラの話すんの?」
『凪も穏やかですっごく優しいじゃん』
「そう?」
『うん、凪のそういうところ大好き』
「…あ、そ」
『だから見た目も中身もゴリラだね』
「……」
『あとね、サッカーやってる凪、かっこいいなぁって思ったよ』
こちらを覗き込みながらサラッとそんなことを言ってのけてしまう彼女は、やっぱりズルいなぁなんて思う。
「…てかそれ、いつまで持ってんの?」
『え、お家まで?』
「買うの?」
『うん!凪と一緒にお出かけした記念に』
「んえ、なら俺にプレゼントさせて」
『え、いいよ!』
「俺がしたいの。ほら、ソイツ貸して」
『ソイツじゃない、なぎおって呼んで』
「ネーミングセンス皆無じゃん」
なんて言いながらぬいぐるみを彼女から奪い取って玲王へのお土産と一緒にレジへ持って行く。
『ありがとう凪!』
「ん、どういたしまして」
『なぎお、ずっと大切にするね』
嬉しそうに笑ってぬいぐるみを抱きしめて、そう言った彼女。
そのぬいぐるみを見る度に俺を思い出してくれたら、なんて思ってしまった。
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chiito(プロフ) - ねう。さん» もしいい感じの話が思い浮かんで書けたら、またお付き合いい頂けると嬉しいです♡本当にありがとうございました!! (2023年7月30日 16時) (レス) id: db14ec3e34 (このIDを非表示/違反報告)
chiito(プロフ) - ねう。さん» ねう。さん、勿体ないくらいのとっても嬉しいコメントありがとうございます!!凪にお前って呼ばれたい人生でした。。笑 そうなんです、玲王のお話も書けたらなぁと思いながら書いてたんです! (2023年7月30日 16時) (レス) id: db14ec3e34 (このIDを非表示/違反報告)
ねう。(プロフ) - 一気読みさせていただきました。とても面白かったです…終始涙が止まらず、胸が苦しくて笑 冒頭から終わり方まですごく綺麗で、凄く素敵な作品だなと思いました。ごく稀にお前って呼ぶスタイルすごく刺さりました。アナザーストーリー的なで玲王の恋路も気になります笑 (2023年7月29日 10時) (レス) @page46 id: dee5bda7f0 (このIDを非表示/違反報告)
chiito(プロフ) - まぴさん» まぴさん、嬉しいコメントありがとうございます!!更新がんばりますので、これからもよろしくお願いします〜(^^) (2023年7月17日 12時) (レス) id: db14ec3e34 (このIDを非表示/違反報告)
まぴ - いつも楽しく小説見させてもらってます✨凪くん大好きなので嬉しいです!これからも応援してます! (2023年7月16日 23時) (レス) id: 860b8d9e21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:chiito | 作成日時:2023年7月16日 10時