選ぶのはどっちだ ページ22
- R.M side -
「あ、玲王」
『本当だ』
「おー、二人とも今からメシ?」
『うん、玲王くんも一緒にどう?』
そう誘ってくれたAちゃんは浮かない顔をしていて、隣の凪は落ち込んだ顔をしていて。
「…二人とも、何かあった?」
『何もないよ。ね、凪?』
「うん…何もなかった…」
「そ、そうか…」
これは明らかに何かあった空気だけど、どう触れていいのかも分からず。
あとでAちゃんにこっそり探りを入れてみようと決めて、その場では当たり障りないようにやり過ごした。
「さっきの合コンの話、凪にしてみた?」
『うん』
「どうだった?」
『…凪の優しさというか、本当に友達思いなのがよく分かった』
「…え?」
凪が教授のところに行くと言って席を立ったタイミングで尋ねれば、思いもよらない答えが返ってきて困惑する。
『たぶん話をした時に私、表情に出ちゃってたの』
「…だろうな」
『そしたら、玲王くんが合コンに行ったことに対して落ち込んでるって勘違いされちゃって』
「…は?」
『それで凪が"俺のこと好きになれば"って言ってくれて。そんなの迷惑だろうに、優し過ぎだよね』
なんて彼女は寂しそうに笑うけれど、何故そんな展開に至ったのか、意味が分からなかった。
「…え、待って。どうしてそうなった?」
『え?』
「まず何で凪はそんな勘違いをしたんだ?」
『…あー、ごめんなさい。私、玲王くんに謝らなきゃいけないことがある』
「え?」
そう言って彼女が話し始めた内容は、俺の予想の遥か斜め上を超えるモノだった。
『…本当は玲王くんと初めて会った時、玲王くんのこと好きになれたらなぁって思ってたの』
「え?」
『実は私、ちゃんと人を好きになった経験がなくて。だから好きな人を作るって目的であの合コンにも参加したの』
「はぁ…?」
『凪に好きな人がいるって聞いて、何か楽しそうだなぁと思ったら羨ましくなっちゃって』
「そう…なんだ?」
考え方や発想が俺とはあまりにも違いすぎる彼女の話を聞いて、驚きながらも頭をフル回転させて。
『玲王くんに対してすごく失礼な話だよね。…本当にごめんなさい』
「いや、それは全然いいんだけど。その話、凪には…?」
『うん、好きになりたいと思ってるってことは話してあったの。だからそのせいで勘違いされちゃった』
「…マジか」
その言葉を聞いた瞬間すべてのピースは合わさり、自分がとんでもなく余計なことをしでかしたことに気が付いた。
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chiito(プロフ) - ねう。さん» もしいい感じの話が思い浮かんで書けたら、またお付き合いい頂けると嬉しいです♡本当にありがとうございました!! (2023年7月30日 16時) (レス) id: db14ec3e34 (このIDを非表示/違反報告)
chiito(プロフ) - ねう。さん» ねう。さん、勿体ないくらいのとっても嬉しいコメントありがとうございます!!凪にお前って呼ばれたい人生でした。。笑 そうなんです、玲王のお話も書けたらなぁと思いながら書いてたんです! (2023年7月30日 16時) (レス) id: db14ec3e34 (このIDを非表示/違反報告)
ねう。(プロフ) - 一気読みさせていただきました。とても面白かったです…終始涙が止まらず、胸が苦しくて笑 冒頭から終わり方まですごく綺麗で、凄く素敵な作品だなと思いました。ごく稀にお前って呼ぶスタイルすごく刺さりました。アナザーストーリー的なで玲王の恋路も気になります笑 (2023年7月29日 10時) (レス) @page46 id: dee5bda7f0 (このIDを非表示/違反報告)
chiito(プロフ) - まぴさん» まぴさん、嬉しいコメントありがとうございます!!更新がんばりますので、これからもよろしくお願いします〜(^^) (2023年7月17日 12時) (レス) id: db14ec3e34 (このIDを非表示/違反報告)
まぴ - いつも楽しく小説見させてもらってます✨凪くん大好きなので嬉しいです!これからも応援してます! (2023年7月16日 23時) (レス) id: 860b8d9e21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:chiito | 作成日時:2023年7月16日 10時