フラジールな僕の理論で ページ17
- R.M side -
OB戦以来、凪とAちゃんと俺の3人で一緒に過ごす時間が何かと増えた。
俺は二人とは学科が違うから、時間が合った時だけ合流する形なのだけど。
「あ、Aちゃんやっほー」
『あ、玲王くんやっほー!』
いつも凪と二人で居るところしか見かけることがなかった彼女が珍しく一人でフリースペースに居て。
「凪は一緒じゃねーの?」
『うん、今は講義出てるよ』
「へぇ、二人は同じ時間割組んでるモンだと勝手に思い込んでたわ」
『あはは、そんなことないよ〜』
「え、じゃあAちゃん今は空きコマ?」
『そ、凪待ち中でーす』
どうしても彼女と二人きりで話したいことがあった。
けれどわざわざ個別で連絡して会ったりすれば、凪の機嫌を損ねそうだから出来なくて。
だからニコリと笑った彼女を見て、これはチャンスだと思った。
「時間ある?ちょっと話したいことがあんだけど」
『いいよ〜、何のお話?』
「ここで話すのもアレだし、カフェでも行こうぜ」
『いいね!今日は何飲もっかな〜』
鼻歌を歌いながら隣をぴょこぴょこと歩く彼女がこれからする話にどんな反応を示すのか、少しワクワクした。
『今ケーキ食べたら凪に怒られるよなぁ…』
「え、何で?」
『お昼ごはん食べられなくなっちゃうから』
「凪のヤツ、そんなことで怒んの?」
『ちゃんと食べなきゃダメでしょー、って』
「…マジ?やっぱスゲーわ、Aちゃん」
『え、何で?』
高校の頃の朝食はゼリー飲料、昼食は菓子パンだったあの男が、まさか人のメシの心配をするようになるなんて。
恋の力が偉大なのか、そうさせる彼女がすごいのか、はたまた両方なのかは分からない。
けれどただ一つ、凪にはきっと彼女しか居ないということだけはよく分かった。
「ぶっちゃけさ」
『うん?』
「Aちゃんって凪のこと好きだろ」
『……っえ!?』
「ぷはっ!その反応、分かりやす過ぎ」
手に持っていたマグカップをひっくり返しそうになりながら慌てる彼女に、思わず笑う。
『ど、どうしてそう思っちゃったの…!?』
「よく分かりやすいって言われねぇ?」
『そうなのかな…?』
「OB戦のとき、凪ばっか見てただろ」
『…えー、お恥ずかしい』
観念したのか、赤くなった頬を手で押さえながらそう呟いた彼女。
凪にも見せてやりたかったなー、なんて思った。
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chiito(プロフ) - ねう。さん» もしいい感じの話が思い浮かんで書けたら、またお付き合いい頂けると嬉しいです♡本当にありがとうございました!! (2023年7月30日 16時) (レス) id: db14ec3e34 (このIDを非表示/違反報告)
chiito(プロフ) - ねう。さん» ねう。さん、勿体ないくらいのとっても嬉しいコメントありがとうございます!!凪にお前って呼ばれたい人生でした。。笑 そうなんです、玲王のお話も書けたらなぁと思いながら書いてたんです! (2023年7月30日 16時) (レス) id: db14ec3e34 (このIDを非表示/違反報告)
ねう。(プロフ) - 一気読みさせていただきました。とても面白かったです…終始涙が止まらず、胸が苦しくて笑 冒頭から終わり方まですごく綺麗で、凄く素敵な作品だなと思いました。ごく稀にお前って呼ぶスタイルすごく刺さりました。アナザーストーリー的なで玲王の恋路も気になります笑 (2023年7月29日 10時) (レス) @page46 id: dee5bda7f0 (このIDを非表示/違反報告)
chiito(プロフ) - まぴさん» まぴさん、嬉しいコメントありがとうございます!!更新がんばりますので、これからもよろしくお願いします〜(^^) (2023年7月17日 12時) (レス) id: db14ec3e34 (このIDを非表示/違反報告)
まぴ - いつも楽しく小説見させてもらってます✨凪くん大好きなので嬉しいです!これからも応援してます! (2023年7月16日 23時) (レス) id: 860b8d9e21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:chiito | 作成日時:2023年7月16日 10時