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『…ねぇ凪』
「何」
『凪から見た玲王くんって、どんな感じ?』
おずおずとそんなことを尋ねて来る彼女に、また苛立つ。
「…見たまんまの感じ」
『じゃあ性格とかも?』
「そうなんじゃない」
『…そっか。じゃあやっぱり、玲王くんのこと好きになれたらいいなぁ』
「…は?」
困ったように笑いながらそんなことを言ってのける彼女に思考がついていかない。
『玲王くん、凪と仲良いんでしょ?それならきっと、いい人だろうし』
「……」
『好きになるなら、きっとあんな人がいい気がするの』
「…お前さぁ、」
さっきから黙って聞いてれば、好き放題言いやがって。
そんな曖昧な理由で、俺を介さないと好きになれそうにないくらいなら。
「…れなら、…でいいじゃん」
『…凪?』
「…そんな理由なら辞めときなよ。それで無理に好きになったって、どうせすぐダメになる」
『そんなの、分かんないじゃん…』
「分かるし」
『…ねぇ凪、さっきから何で怒ってるの?私、凪に何か嫌なことしちゃった?』
「別に」
『…そっか』
我ながら自分勝手だなぁと思う。
この関係が壊れるのが怖くて告白する勇気もないくせに、彼女が自分の気持ちに気付いてくれないと腹を立てて。
こんなの、ワガママを聞いてもらえずに駄々を捏ねる小さな子どもと一緒じゃないか。
『ごめんね、今日は無理言っちゃって。OB戦、連れて来てくれてありがとう』
「…ん」
『それと、送ってくれてありがと。また明日、大学でね』
タイミングが良いのか悪いのか、駅に着いてしまって。
寂しそうに笑って手を振る彼女に胸が痛んで、自分の取ってしまった行動に今さら後悔した。
「おう、おかえり凪」
「最悪だ…」
「どうしたー?」
「Aに、ひどい態度取っちゃった」
「お前なぁ…」
「どうしよう、Aに嫌われたかも」
「んー、それはないと思うけど」
「何も知らないクセに適当なこと言わないでよ」
「ふはっ!あの凪をこんなんにするAちゃん、やっぱりスゲーな」
落ち込む俺を見て、玲王は面白そうに笑うだけだった。
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chiito(プロフ) - ねう。さん» もしいい感じの話が思い浮かんで書けたら、またお付き合いい頂けると嬉しいです♡本当にありがとうございました!! (2023年7月30日 16時) (レス) id: db14ec3e34 (このIDを非表示/違反報告)
chiito(プロフ) - ねう。さん» ねう。さん、勿体ないくらいのとっても嬉しいコメントありがとうございます!!凪にお前って呼ばれたい人生でした。。笑 そうなんです、玲王のお話も書けたらなぁと思いながら書いてたんです! (2023年7月30日 16時) (レス) id: db14ec3e34 (このIDを非表示/違反報告)
ねう。(プロフ) - 一気読みさせていただきました。とても面白かったです…終始涙が止まらず、胸が苦しくて笑 冒頭から終わり方まですごく綺麗で、凄く素敵な作品だなと思いました。ごく稀にお前って呼ぶスタイルすごく刺さりました。アナザーストーリー的なで玲王の恋路も気になります笑 (2023年7月29日 10時) (レス) @page46 id: dee5bda7f0 (このIDを非表示/違反報告)
chiito(プロフ) - まぴさん» まぴさん、嬉しいコメントありがとうございます!!更新がんばりますので、これからもよろしくお願いします〜(^^) (2023年7月17日 12時) (レス) id: db14ec3e34 (このIDを非表示/違反報告)
まぴ - いつも楽しく小説見させてもらってます✨凪くん大好きなので嬉しいです!これからも応援してます! (2023年7月16日 23時) (レス) id: 860b8d9e21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:chiito | 作成日時:2023年7月16日 10時