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久しぶりのサッカーは楽しくて、身体も思いの外上手く動いてくれたからそれなりに活躍も出来て。
彼女の前でカッコ悪いところを見せずに済んでよかったなぁ、なんて思っていたのだけど。


「…めっちゃ目逸らされるんだけど」
「え、Aちゃん?」
「うん、何あれ」


試合中、何度も彼女の方を見るのに少し目が合ったかと思えばその視線はすぐに別の方向へと逸らされる。
そしてその視線の先を辿ってみれば、そこ居いるのは玲王で。


「気のせいじゃね?」
「気のせいじゃない」
「気にしすぎだろ」
「…そんなことない」


腹が立って仕方がない。
相変わらず俺のことを全く意識してくれないキミにも、意識させることが出来ない俺にも。


『凪も玲王くんもすごかったー!2人とも上手なんだね』
「ありがとな、Aちゃん」
「感想が素人のそれって感じ」
『何でそんないじわる言うの、凪』
「別に」
『どうしたの?どこか怪我した?大丈夫?』
「何でもないし」
『…そう?』


彼女が心配そうにこちらを見つめているのに、虫の居所が悪い俺は素直になれない。


「ごめんなAちゃん、コイツ今ちょっと拗ねてて」
『そうなの?』
「A、そろそろ帰りなよ。変なのに声かけられるよ」
『え?』
「さっきからアイツら、ずっとAのこと見てる」
『そう…?』
「駅まで送るから。ほら、行くよ」
『う、うん…?』
「またな、Aちゃん」
『うん、今日はありがとう玲王くん!』


玲王に手を振っていた彼女の手首を掴んで、そのまま駅の方へと足早に歩き始めた。


『ごめんね凪、送ってもらっちゃって』
「別に」
『凪が連れて来てくれたおかげですっごく楽しかった!あんなに機敏に動く凪、初めて見たよ〜』


いつの間にか繋がれていた手をギュッと握り、嬉しそうに笑って話す彼女。
いつもならただただ愛おしいだけなのに、今日は無性に苛立ってしまう。


「…玲王のことばっか見てたじゃん」
『え?そんなことないけど…』
「どうだか」
『……』


普段なら絶対に彼女に向けることのない、刺々しい言い方。
それに気付きながらも気丈に振る舞ってくれていた彼女だったが、そのうち黙り込んでしまった。


.

.→←息苦しくなってばっか



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chiito(プロフ) - ねう。さん» もしいい感じの話が思い浮かんで書けたら、またお付き合いい頂けると嬉しいです♡本当にありがとうございました!! (2023年7月30日 16時) (レス) id: db14ec3e34 (このIDを非表示/違反報告)
chiito(プロフ) - ねう。さん» ねう。さん、勿体ないくらいのとっても嬉しいコメントありがとうございます!!凪にお前って呼ばれたい人生でした。。笑 そうなんです、玲王のお話も書けたらなぁと思いながら書いてたんです! (2023年7月30日 16時) (レス) id: db14ec3e34 (このIDを非表示/違反報告)
ねう。(プロフ) - 一気読みさせていただきました。とても面白かったです…終始涙が止まらず、胸が苦しくて笑 冒頭から終わり方まですごく綺麗で、凄く素敵な作品だなと思いました。ごく稀にお前って呼ぶスタイルすごく刺さりました。アナザーストーリー的なで玲王の恋路も気になります笑 (2023年7月29日 10時) (レス) @page46 id: dee5bda7f0 (このIDを非表示/違反報告)
chiito(プロフ) - まぴさん» まぴさん、嬉しいコメントありがとうございます!!更新がんばりますので、これからもよろしくお願いします〜(^^) (2023年7月17日 12時) (レス) id: db14ec3e34 (このIDを非表示/違反報告)
まぴ - いつも楽しく小説見させてもらってます✨凪くん大好きなので嬉しいです!これからも応援してます! (2023年7月16日 23時) (レス) id: 860b8d9e21 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:chiito | 作成日時:2023年7月16日 10時

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