俺らが紫耀を守るから29

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平野side

消毒液の匂い…

これって…




岩「しょお」

平「…ぇ？」

神「目覚めたか？」

平「…じん」



玄樹と神。

やっぱりこの匂いは…病院か。



平「…みんなは」

神「そこにいるよ」



神の指さした方に顔を向けると、廉たちがひしめき合ってソファで寝ていた。

すでに外は明るい。
ってことは…朝…



平「もしかして…みんな舞台終わったまま…なの？」

神「んー、まぁね」



うそ…

舞台終わって疲れてるはずなのに、俺のせいで一晩ここにいたってこと？



平「ごめんっ…」

岩「しょおは気にしなくていいの。それに俺ら順番にシャワー浴びに帰ったり仮眠取ったりしてたから」

平「でも…」



今日は幸いなことに舞台はない。
初日後すぐに休演日ってことはなかなかないんだけど、今回ばかりは助かった。


神「舞台きつかっただろ。先生が、この状態でよく舞台立ってましたねって言ってた」

平「…そんなことないよ」



ほんとはかなりきつかった。
結構痛かった。
立ってるのもやっとだったけど、ファンのみんなや仲間たちの声、温もり、そして熱気に突き動かされてなんとかやり切ることができた。


感謝しかないよ。



平「みんなのおかげでやり切れたんだ。ありがとう」

神「何言ってんだよ。当たり前だろ」

岩「しょおはほんとにすごいよ」

平「(フルフル)…結局倒れてるんだから、すごくなんかない…」

岩「それでも、すごいの」



時計を見ると７時半を指していた。

舞台終わってから１２時間近く経ってるんだ。
あの後の記憶がすっぽりないから変な感じ。



平「…俺今日はちゃんと休んで、明後日からの舞台はもっと頑張るよ」

岩「…あっ…」

神「…」



なに？
２人とも急に黙って目を合わせなくなっちゃって。



平「２人ともどうし…岸『んーーーっ！』…」



ソファから岸くんが起きた声がして、なんとなくそのまま理由は聞けなかった。



岸「えっ、しょう起きてんじゃん！」

高「ふぁぁっ……えっ！しょお！」

永「目覚めたんか！」



３人で一斉に走ってくるから一気に騒がしい。



平「みんなごめんね」

岸「いいんだって。しょう、よく頑張ったな」

高「おつかれさま」

永「無理して…あほ」

平「…へへ。俺明後日からはもっと頑張るから」

永「…」

高「…それは…」



また黙った。

みんな目が泳いでるし、なんで？



平「みんな？」

岸「しょう、、あのな…」

平「うん」


岸くんが真剣な顔でベッドの横に屈んだ。

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